酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年01月11日(木) 『サロメ後継』 早瀬乱

 刑事の井出川は奇妙な事件に遭遇した。手首からすっぱりと切断された人間の左手。指が全て根本からない・・・そんな手が純白のタオルにくるまれた箱が発見されたのだ。井出川はこの奇妙な事件にのめりこみ、欲望が伝播していることに気づく。そして井出川は焼身自殺をしてしまった。しかも心中だった・・・!?

 不思議なホラーでした。こういう宗教をからめた儀式のようなホラーって興味深いなぁ。人間の心の根底に流れている欲望や闇は果てしなく人によって全く違う。その欲望は本当に自分の欲望なのだろうか? うーん、面白いv 井出川刑事以外の登場人物に今ひとつ魅力が欠けていてそこが物足りなかった。もっと書き込めばいいのに〜。

悲しみを感じるんです。ああ、この人達は、見かけはごくふつうなのに、心だけが病気なのだって。すると、悲しみが僕の中でふくれあがり、出口を求めてもがきだします。僕は傷を作ることで、その出口を作ってやるんです。すると、悲しみは外へと流れ出ていき、みんなの顔が晴れ晴れとしてくるんです

『サロメ後継』 2006.12.25. 早瀬乱 角川書店



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