絵童飛鳥のエッセイ
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2002年06月01日(土) 携帯電話

夜になると、あの男は、僕の前に必ず現れる。
その男は、僕に必ず、こう言うのである。
「明日が欲しいか?」
僕は、いつも頷く。ただ、コックリと。

ある日、いつもの時間に男は、来なかった。
僕は、安堵の表情を浮かべながら、
いつも通りの生活をしている。

次の日、僕は、死ぬのに。それに気づかないまま。
いや、気づいていたのかもしれない。
その男は、神であったことに。
その男に生かされて、僕は、この世界に居ることに。

僕の見せた安堵の表情は、疲れ果てたこの世界との
別れを喜ぶかのように、ほのかに笑っていた…。


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