絵童飛鳥のエッセイ
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携帯電話
夜になると、あの男は、僕の前に必ず現れる。 その男は、僕に必ず、こう言うのである。 「明日が欲しいか?」 僕は、いつも頷く。ただ、コックリと。
ある日、いつもの時間に男は、来なかった。 僕は、安堵の表情を浮かべながら、 いつも通りの生活をしている。
次の日、僕は、死ぬのに。それに気づかないまま。 いや、気づいていたのかもしれない。 その男は、神であったことに。 その男に生かされて、僕は、この世界に居ることに。
僕の見せた安堵の表情は、疲れ果てたこの世界との 別れを喜ぶかのように、ほのかに笑っていた…。
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