ぐっどないとみゅうじっく
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どんなに真冬の寒い時でも 滅多にカイロは使わない。 嫌いとかじゃないんだけど 何だかあえて買って使う気にもなれない。
中学1年生のある冬の寒い朝 下駄箱でとなりのクラスのYさんに逢った。 Yさんとは小学生の時同じクラスだった。 でも、それだけであまり話をした記憶もなかった。 「おはよう」の他に2,3言葉を交わした後 「これ、あげる」とYさんが自分のポケットから 使っていたカイロを差し出した。 「使わないからいいよ」と一度断ったのだけど 「いいよ、持ってなよ」と僕の手に カイロをぽんと落とした。 他の生徒にでも見られると冷やかされるので 「ありがとう」と礼を言ってその場を去った。
今思えば、それがYさんの告白だったのかもしれない。 うぬぼれとかそう言うのではなく ただ、僕が鈍感だからまったく気付かなかっただけだった。
吐く息の白さを見て思い出したこと。
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