| ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ |
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| 2002年05月04日(土) | アナスイ新宿伊勢丹店にて。 |
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髪を切った。 新宿の街は、ゴールデンウィークらしくたくさんの人でにぎわっていて、なんだかわたしの心を、ぐいぐいと鈍い針でつつくように、煩かった。 デパートメントストアのなかの店で買ったカーネーション色のマニュキュアが、ありがとう、とわたしに細い声で言った。どうしてありがとうなのかは判らなかった。 将来、という言葉が、恐ろしくてしょうがない。 マニュキュアに、君を全部飲んだらどうなる?と、訊いた。 マニュキュアは急に太い声を出して、死ぬわ、と言った。 嘘だ、とわたしが少し恐ろしくなるとマニュキュアは、 「お前はもう穢れている。お前は少しずつ死んでいくのだ。お前の心はもう澱んでいる。心は死ぬだけではたりない」 と、叫んだ。 わたしは叫び声が回りの人に聞こえちゃいないだろうか、と、辺りを見回した。 阿呆のように金をばら撒く金持ちが一人と、その金を拾い集める貧乏人がたくさん、いた。みんな金に夢中で、わたしたちの会話など聞いてはいなかった。 地下鉄で帰る途中、ポケットに何気なく手を入れると、マニュキュアでべとべとの紫のコットンが入っていた。さっきマニュキュアを買った店のコットンは紫だ。 ありがとう、とマニュキュアが言った。 |
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