冒険記録日誌
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2021年02月28日(日) |
金庫館の秘密(ロバート・アーサー/偕成社) |
昔、「カリフォルニア少年探偵団」というシリーズがありまして、これはアメリカのカリフォルニアに住んでいる少年達が、秘密基地を拠点に活動し、事件を解決していくという、児童書としてはよくあるような小説でした。 本書はそのシリーズの作者自身が書いたゲームブックなのです。 残念ながら、かなり昔の本なのでゲームブック版はおろか、シリーズそのものも入手困難なので相当レアな本です。わりとゲームブックは沢山持っている方の私でも入手できず、国会図書館の別館である国際子ども図書館でやっと読めたくらいですから。 しかし、小説版の作者本人が書いたゲームブックといったら、最近で言ったら、はやみねかおる先生本人が「都会のトム&ソーヤ」シリーズをゲームブック化しちゃった事を思い出します。 ちなみにゲームシステムは一方向システムで、シンプルな分岐小説タイプです。
本作の主人公ですが、ゲームブック版の主人公は小説とは違って、両親と観光でカリフォルニア州ロッキービーチにやってきた少年。 もちろん主人公は、小説でお馴染みの少年探偵団のメンツに会うわけですが、なんと少年探偵団の活躍は、この作中でも小説化されているという設定でして、それを読んでいた主人公は、簡単に少年探偵団の秘密基地にやってこれたのでした。こんなの秘密基地でもなんでもないよ! 事件そのものは、金庫王が住んでいたという不気味な館をめぐる遺産相続をめぐるもの。 主人公は少年探偵団と一緒に冒険するわけですが、一心同体というわけでもなく、メンバーに愛想をつかされて主人公がはぶられて終わる事もあれば、逆に両親が唐突に宝くじを当て主人公が事件や少年探偵団なんてほったらかして景気良く次の観光地に向かって終了、なんて変なものまであって、なかなか自由な展開が広がっています。 悪人と対峙するクライマックスでも、ある選択肢では「残念ながら彼はバカンスに行って留守だよ」みたいなギャグっぽいのが入っていたりして。 もちろんシリアスに探偵しているシーンもあるのですが、おおらかさや笑いの要素が入っているのも、小説版と同じ面白さなんでしょうね。まあ、小説版は読んでないですが、そう感じました。 やっぱり作者本人が書くゲームブック版というのはいいものです。
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