「年内にココまでは終わらせてしまわないと、仕事回らなくなるから。年明けに人手を増やす目途もつけるし、な」 年内、年末、仕事納め……。 気が付けば、二〇〇五年もあと四日しかないじゃない。 「大晦日と三が日だけは休もう。四日からは頑張らなければいけないけれど……」 年末のお休みって、こんなもんだったっけ……? 「休みの間の予定ってどうなってる?」 「おっしゃるまでも無く、大晦日と三が日は休みたいですけど……三十日も、おまけで付けたいですねえ」 「じゃ、そうできるように頑張ろうな」 「……ハイ」 まあ、休みということで午後出勤。 二日間でどこまでヤレるか。 せっかくの長期休みだから、自力のみの生活でどこまでヤレるか試したかったけれど、そうは、言ってられないね。 かかりつけ薬局の目途が相変わらずたたない。予約電話サービス(?)を買って、最初の薬局に決めるつもり。 後顧の憂いは断った……? そういえば週末、床屋に行ってばっさり髪も切った。 今年の締め括りも、ばっさりきっぱりと切り抜けることが出来るのだろうか……?
今の自分にとって「休み」は必要不可欠なものであり、しんどいものでもある。 「休まなければならない」のに。 どんな「休み」を、自分が一番求めているのか? 他力に頼らず、ただじっと休んで過ごす。 違う。 「何か」を得た時、それまで例え一週間の休みだったとしてもそれを得られなかった時は、何の意味も無い、ただ体の為だけの休養に過ぎず、心のなかではフラストレーションが溜まりに溜まったままの不自然な状態で終わってしまうが、ほんの一日、いや例え半日だけだとしても、それが得られた時が本当の「休み」なんだ。
じゃあ、「それ」って何?
今わかっていることは、一本でもストーリーが形になった時。描けなくてもいい。イメージが降ってくれば。 最近、何一つ降ってこない。 推敲しようと思って眺め直してみても、活字しか見えない。 絵が見えない。 何一つ、動かない。
どうして?
今はその代わりに、他の作家さんの小説を読んでいる。 今回の作品も、どうしてなかなか、いい感じ……。 これを糧にして、自分の作品の為になればいい。 そう、信じて。
ええ、ええ、世間じゃ赤と白のコスチューム着た人が溢れているおめでたい日ですよ。 三連休のど真ん中、そしてクリスマスイブ。 そんな最中、自転車漕いで会社に向かう自分の肩が、必要事情に世間の風を切っているような気がしました。
会社にはほんの一握りの人の姿が……。 そして、夜には、自分ともう一人だけ……。 そりゃあ、なにを好き好んで今日のこの日をわざわざ仕事しに来てるんだろう。 せめて今日くらいは休めばいいのに。 夜も更け「さて、帰ろうか……」と思ってもう一人を見やると、まだやる気のようだった。 ポツーンと付いた必要最低限の蛍光灯の下で、お互いのつまみの「シュークリーム」と「アーモンドチョコ」を持ち寄り、男二人で 「メリー・クリスマス!」 「……」 しばし、沈黙。 「やっぱり、これだけはやりたくなかったですね……」 「うん、やりたくなかったね……でも、毎年こんなモンだよ。年越しはちゃんと、大丈夫だよ」 なぐさめになっていない言葉を掛け「俺は、コレで帰るから」と、彼一人を置き去りにして帰宅。
帰りの弁当屋でチキン代わりのから揚げを買い、ささやかなクリスマスを過ごした。 来年こそは……!
三連休の初日。 今日は姉の旦那様とそのお義母さんと、クリスマス&誕生会をやる事になっていた。 会場は、姉夫婦の家。 ところが……。
時間に間に合うように、ぎりぎり電車に飛び乗る。 半分くらいまで行ってから、はたと義兄へのプレゼントを忘れた事に気が付く。 Uターンして、部屋まで取りに戻る。 そして、実家の最寄駅に着き、バスに乗るより歩いた方が勝手がよいと思い、「駅に着いてこれから向かう」と姉にメールを送り、テクテクと歩き始める。 工事真っ最中のうちの物件の現場を見ながら、実家まであとちょっとのところまで辿り着いた時。 「あんた、今どこさまよってんの? 迷子になってない?」 と姉からの電話。 「え?もうすぐ家に着くよ。地元で迷子って、そんなバカな! 教習所を通り過ぎて……」 「はあ? 教習所?」 話が噛み合わない……。 「だから、教習所を過ぎて、家まであと五分くらいの……」 「……」 「?」 「……まさか、実家に向かってない?」 「……へ?」 ようやく、事態が頭の中で把握されて行く。 「実家行ってどうすんの? 我が家だよ? 神奈川の!」 今まで疑問だったパズルのピースがはめ込まれて行く。 『通り道だから、車で拾ってやろうか?』 父の言葉。 実家でやるのに、何の通り道なのか? 実家の菩提寺が千住にあり、年末のお墓参りに出てきてその帰り道に、と言う風に解釈していた。 待ち合わせの時間が遅くなる連絡メールを姉から貰った時。 「実家でやるから、お義母さんが来るのを考えて時間も遅くしたんだろうな」 と思っていた。 その全てが、勝手な勘違い。 迷う事無く、そうだと思い込んでいた。 東京のど真ん中から東に、そして東京を横断して神奈川へ……。 やらないで済む筈の、東京横断小旅行。 へたった……。
会社の忘年会がありました。 年と共に、仕事の全てを忘れてしまいたい今日この頃です。
会社全体の忘年会だったので、全部署の面々が食堂(ホール)に集まり、寿司やらオードブルやらの料理と、景品付のゲームやら……と、盛り上がったようでした。
と、いうのも……。 最初の乾杯と、お寿司を満足するまで平らげるところまでしか参加せず、そそくさとお仕事に戻ってしまったので。 始まる前、上司から「最初に顔出すだけでもいいから、出席しとけよ」と、釘を刺されていた手前、寿司も食べられる誘惑にも負け、顔を出したんだけれど。 席に戻り、仕事に戻っている人間は一握り。 電話は容赦なく掛かってくる。 ちょうど出た電話の相手が、今の物件のお施主様からだった。 担当の上司が現場に出ていて不在、そこで相方の名前が出た。 相方は朝から調子が悪く、忘年会に出るくらいなら帰って休む、という事で帰宅していた。 「体調を崩したようで、早退しておりますが……」 のひと言をこそっと、伝えてみた。 「ああ……。無理させちゃってるからなぁ。そうですか……」 あなたは、かろうじて優しさの欠片を持ち合わせていらっしゃる、いいお施主様です。 何の事情も知らないイチ社員としてだからこそ、言えてしまう牽制攻撃。 そのフリ。 もし、受話器の向こうで舌打ちなんかが聞こえていたら、ガチャンと受話器を叩きつけていたかもしれない……。
まだまだ、救われている……。
やっと読み終わった。 前回の村上作品「ノルウェーの森」に比べて、より引き込まれてグイグイ読み進めていけた。相変わらず? 誰かと自分の生と死と存在をテーマにしていたけど、読中ふと共感してしまう所があったのは、やばいのかしらん……?
なんにせよ、登場人物の一人一人が魅力的で、言葉遣いや表現もサラリと頭の中に流れ込んでくる……。超一流作家なのだから、それも当然だね。 一人称と三人称の文体の使い分けも、全体を通して「あるべくしてある」ようになっている。まあ、個の思索的な作風だから、といえばそれまでだけれど。
以前に比べ読める時間が減ってしまったけれど、次を物色しないと……。
冷たい空気が夜を包み ぼっかりと切り抜いた様に 月が浮かんでいる 昨日満たされたばかりの輪郭が 今日にはもう 欠け始めている 名残り惜し気でもなく 淋しげでもなく むしろ誇らしげに 今年の終わりと共にその姿を隠し 新年の始まりと共にその姿を現す 満ちるために欠けてゆく 輝きを失うことなく……
自転車通勤も考えもの、とも思える朝帰り。
今の仕事の相方と二人、 「なーんか、叫びながら走り回りたいっすね……。やってもいいっすか?」 「俺は去年の仕事納めで、誰もいない深夜の社内をそれやったぞ……」 「え? まじっすか? 誰もいないの確認しないと、ちょー恥ずかしく無いっすか?」 「ちゃんと、確認したよ。ぬかりは無いさ」 時間は深夜三時過ぎ。 今の自分にとって徹夜や泊り込みなど、負担をかけることはタブーに近い事とはわかっていても、仕事だ、やらねばならん……。 ブチブチと気兼ねなく不平をこぼす相方のぼやきに相槌を打ちながら、自分の分をちまちまと片付けて行く。
「あ〜〜! もう駄目! 寝ていいっすか、俺?」 雄たけびが上がった。 「じゃ、その間に俺は帰るね。もうすぐ片付くから」 「げ! まじで? じゃあ、そこまでにしましょうよ」
土曜はいつもの事でお休みさせてもらうので、 「じゃ、日曜日に」 片手をシュタッとあげると「お疲れ様です〜」とおやすみモードに早くも突入した相方の声が聞こえた。 自転車でぬぼーっと家路に向かっていると、猛烈なだるさと眠気が…… 「げ、ここで切れたか……」 こっそり、やっていたドーピング切れが(本当はこんな事の為にやってはいけないとはわかっていつつも、もたないんだからしょうがない)。 とにかく、こぐ、こぐ、こぐ。 足を止めたりしていたら、一気に意識が飛んでしまう可能性大。 坂道下ってる最中にそんななってクラッシュしたら、洒落にならない。 ああ、まぶたが重い……と、たたかいつつ無事、帰宅。 時計は朝の五時半。 あとは布団にもぐりこみ、ばたんきゅう。 そのまま夜まで寝ていたかったけれど、東京タワーとお買物と、やらねばならない事がある。 姉の旦那さんとそのお母さんがもうすぐ誕生日と言う事で、プレゼントを買わねばならない。 デパートの店員のお姉さんの、アヒル口の笑顔の不自然さと、それでも可愛らしく微笑んでいる姿に見とれながら、プレゼントはゲット。 笑顔って不思議だね。 何の関係も無い人の笑顔をみるだけでも、不思議と自分の胸の中も暖かくなってくる。 そんなお話を描けるようにならないとね。 思わずクスっとなるようなものでもいいから。 そんなこんなな状態の日々で、女神の後ろ姿はおろか妄想すら沸く余裕なし。 年末締め切りの公募原稿、推敲してないし。打ち出しもしていない……。 間に合うのかしらん……。
今朝、ドアを開けて寒さに身を丸めながら自転車の鍵を差す。 お向かいのお宅の玄関先を、多分娘さんだと思うけど、ふと、目が合ったので軽く頭を下げた。 「おはようございまーす!」 ごく自然な元気な声だった。 慌てて、もう一回頭を下げなおして、自転車にまたがって蹴り出す……。 「いってらっしゃーい!」 思わず、ブレーキをかけて振り返ってしまった。 「ど、どーも」 いやあ、めっちゃ久し振りに、誰かに送り出された気がした。 単なるご近所さん、しかも、顔を合わせたのは初めて。 ご両親がしっかりしているのか、それとも、このまちに住むひと達の気質なのか……。 そりゃ、路地を擦れ違う時は、見知らぬ人でも、お互い会釈をしたりしていたけれど。 このまちを選んで良かった。 あとは、「文豪のまち」にあやかって、執筆に励むだけだね。 とはいえ、最近不調が続き筆は止まったままだけれど……。
2005年12月10日(土) |
手作りブックシェルフ |
かれこれ二年間近く封をしたまんまのダンボール。 中身はぎっしり詰まった文庫本、その数八箱。 新しく買い足してきた文庫本も含めて一度整理しようと思い、本棚かその代わりになりそうなものを物色しに行ってみた。 ……ない。 きちんとした本棚は値段が高いし、イメージに合ったものが中々無い。カラーボックスっぽいものにでもしようかとも思ったけれど、それもなんか違う。 どうせ違うなら……作っちゃうか。 代用品のパーツをかき集めて、簡単に組み立てられて簡単に解体できる、即席ブックシェルフ。 その方がどんどん増設できるからね。 会社からプロッターの廃棄予定の芯を貰ってきて、それをベースにしよっか……などと、画策してみる今日この頃。
世間で構造設計の不正問題が話題になっている……。 性善説を唱えるわけじゃないが、いろんな所のいろんなしがらみがある。 もちろん、やってはいけない事をやってしまった、という事は否めない。 その過ちに対しては、誠心誠意対処するべきだ。
例えば、のお話。 根も葉もない、個人の妄想だと思って欲しい。
行政がこれまで行ってきた建築確認。 やがて処理能力に限界が訪れる。行政だからといって大量の人数を導入してその全てが建築のプロで、書類や図面チェック、そして現場の検査全てを最新のコンピューターのように迅速に処理できるわけではない。 ならば、その資格ある民間に委ね、民間で在るがゆえに、プロフェッショナルのみの集団に、しかるべく対応させよう。 必要とは言えやがて「税金の無駄遣い」なんて批判されるかもしれない建築確認に大量の人員を確保するわけにも行かない。 でも、民間審査機関とは言え、イチ企業。 利潤も追求しなければならない。ライバル企業にも勝たなければならない。 何がニーズか。 質は勿論。建築主にしてみれば、少しでも早く建てて、他よりも早くお客様に購入してもらえるようにしたい。 「当社は○週間で建築確認取得をお約束します」 行政に提出するよりも勿論短い期間。 設計側も、しかるべき書類、図面等をきちんと揃えて審査をお願いしている。 それでも、訂正や説明の時間がかかってしまう事もある。 でも、約束の期日を元に民間の審査機関に提出している手前、そこに営業と技術の間にジレンマが発生する。 期間内に建築確認を許可しなければならない。 お互いプロ。しかるべきものを当然、揃えてありますよね、それを「確認」はさせて頂きます。でも、プロだって人の子。間違いはあっても仕方が無い。
間違いや過ちを黙認する気は、毛頭無い。 やってはいけない事は、やってはいけないのだ。
もひとつ、例えのお話。 マンション建設反対の住民運動。 夢のマイホーム。血と汗と涙と家族の愛の結晶。 手に入れる時、よもや将来、お隣に高層マンションが建つなんて事は、誰も想像できないし、わかるわけが無い。 日影や、景観、ビル風、車の出入り……。問題はきりが無い。 建築主は民間企業であるが故に、採算や利潤を求めなければならない。近隣の住民にも「できて良かった」と思われるものを建てたいとも思う。 外部から新しい住民が増え、コミュニティの拡大のきっかけにもなる。 それぞれの立場で、それぞれの求めるべきものがある。 その共通項をみんなで見つめなければならない。 みんながそれぞれ、背伸びを止めなければならないところがある。
自分だけの幸せのみを求めて生きる人間に、本当の幸せは来ない。 求めるほど、他者との軋轢が増え、やがて争いにしかならなくなる。 世界で戦争が無くならない理由と同じ。
「あきらめる」のではない。
それぞれで、それぞれのこころに線引きが必要だ。 何を求め、何を大切にするか。 何を優先するのか……。
今日は最寄の駅ではなく、上野まで歩いていく事にした。 いつもとは逆の方向へ足を向ける。路地を抜け、坂を上がる。 お寺の横を通り、ヒマラヤ杉を眺めつつ、やがて東京芸大、上野公園へ。 大噴水の開けた空。 東京の風景、これもアリ、だね。 動物園入り口脇で豚マンを買い、それをほおばりながら、上野駅へ。 そして東京タワーのある街へと向かう。 なかなか、健やかな気分。 グレーな気分と体調を解消してくれる、東京風景……。
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