白日の独白
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| 2006年02月25日(土) |
傍らの涙とブラウン管に映る空虚な笑い |
「話があります」と言うその人は、平常以上に酷い顔色をしていました。
本当は僕は、その人の一部分なのだと想います。 その人の作品のようでもあるし、複製でもあるし、影でもあります。 僕は僕なのであって、僕以外の存在でもあるなんて嫌でした。 気付いたら僕が僕じゃなくなって凄く怖い想いをした事もあります。 全部その人の所為だと想っていました。 でも確かにその人には僕を自分の一部分にする資格があるのです。 僕はそれを拒否する事も逃げる事も出来だけれどそうしませんでした。 結局の所、それが一番楽であるしそれでいいと想ったからです。
だからお願いです。 僕を独りにしないで下さい。
| 2006年02月24日(金) |
傾斜四五度の噴水 (或いは滝のような) |
坊主(眼鏡)の背後から跳び付いて両腕で首をぎゅうっと絞めた 振り返った彼はにこにこして僕を見ていたから 彼の頬に僕の頬をくっつけた ずぶ濡れのだらしがない男が僕等を見て瞳孔を広げた それから素早く首から提げたカメラで仕切りとシャッターを切り始めて 僕は嬉しくて恥ずかしくて楽しくて気味が悪くて 彼の肩に顔をうずめた
| 2006年02月19日(日) |
エンドロールに音楽はいらない |
人に嫌われる事には無頓着だが人の邪魔をする事を僕は好まない。 『何か誤解があったのかもしれない』というのは僕の一方的な期待。 『僕なんかいらなくなった』というのが現実的。 結局何が起こっているのかを把握出来ない僕は、何もしないままでいるのだろう。 案外素知らぬ振りをすれば(或いは縋り付く言葉ひとつで)また元に戻れるのかもしれない。 僕がしなければいけない事はそういう種類なのかもしれない。 けれど所詮『かもしれない』だ。それ以上進めない。 それ以前に『戻るべき場所』という存在すら覚束なくなってきている。 そうして表面的には何もしないままに、その実何も出来ないままでいるのだろう。 こういうのって謙虚さや消極性を隠れ蓑にした自己愛人間のやり方に似てる。 本当に穢いし醜いと想うけれど、でも仕方がない。 僕は綺麗な人間ではないのだ。
| 2006年02月17日(金) |
欠けた歯車の螺子を巻く |
引っ張り出した過去で紡ぐ未来を夢見ることがある。 紡いだ傍から砂のように流れ落ちて、もう夢なのかさえわからない。 さらさらと。とても静かに。けれど圧倒的に。 現実の僕の足は確かに道を歩いているけれど、僕は何処にも行けなくて。 歩けば歩くほどに「何処にも行けない」と背後の呟きが聞こえて。 おぞましい、と想う。
| 2006年02月15日(水) |
右目で見るモノ・左目で見るモノ |
一昨日までは出来ていた事が、今日は出来なくなった。 それは同時にこう言う事も出来るだろう。 一昨日までは出来なかった事が、今日は出来るようになった、と。 どちらでもいい。どっちにしたって中途半端。 だってね、だって。 僕が独りで決められた訳じゃないんだ。 結局の所いつだって、人の言いなりなんだ。
欲しいものを天から与えられるような人間じゃない。 欲しいものを手に入れようと頑張れる人間じゃない。 だったら何も欲しがらなければいい。 何も欲しがらなければ、何も失うことはない。 『僕は何者にもなりたくないんだ』 そう精一杯叫ぶのは、何者にもなれないことを知ってるから。 逃げ水みたいなプライドが邪魔ばかりする。
早朝、駅まで自転車を飛ばしていたら道の真ん中で学生と社会人(共に20代と推測)の小競り合いに遭遇。 六秒程もみ合った後、学生は慣れた身のこなしで社会人の腹を殴って終了。 学生は蹲る社会人に「弁護士呼びますから〜」と吐き捨てて足早に去っていった。 その声が、その物言いが、僕の癇に障った。僕は誇大的な人間が大嫌いだ。 凄く苛苛するから学生をナイフで切り刻む所を空想してみる。 もう二度と声なんか出せないように舌から切るんだ。 でも殴られたら嫌だから腕を先に切り落としちゃおうかな。 って朝から何やってるんだろう。
今朝の出来事を記すなんて大変日記的だと想われる。
| 2006年02月07日(火) |
はじまりの音を僕は知らない |
目覚まし時計の音。 引き剥がされた意識。 血の臭いがする。 夢じゃないんだ。
それはどっちが? それでどっちが?
御存知かと想われますが僕の趣味は美術館へ行く事です。 まぁ趣味と言える程には足繁く行く訳でも造詣が深い訳でもないんですけどね。 やっぱり趣味じゃないですね。じゃいいいですよ。単に好きなんです。 って誰に向かって言ってるんだよ? 別に誰でもありませんよ。壁ですよ、壁。 ほらよくいるでしょ?電車の中とかで。アレですよ。アレと一緒。素敵でしょ? そうそう美術館。君が話し掛けるから忘れちゃったよ。 去年から前売券も買ってもう二回も行ってるのにまだ見れてないの。 なんかね、行く度に何かが壊れてるの。 一回目はまぁそういうこともあるかなって思ったけど二回目はね、もう意地。 意地でも全作品見てやるしかないみたいな。ほらMOTTAINAIとかいうじゃない? あ、僕も一時期ホワイトバンドとかしていましよ。勿論浸透する前に止めたけど。 そんなこと聞いてない?ああゴメン。そうだよね。美術館の話だったよね。 美術館?美術館の話なんてもうないよ。全部話した。これで御仕舞。 え?何で?馬鹿になんてしてないよ。ちょ、誤解です。 あ、ごめんなさい。やだ、やめて下さい。叩かないで。痛い。痛いよ。 ごめんなさい。ごめんなさい。許して下さい。ごめんなさい。
僕には地図がない 僕という羅針盤は北を指しているのかわからない そもそも僕は船に乗っているのだろうか
無分別に差し出した手で何が出来るんだ 僕は誰も助けたくなんてない そんなんでこの身に背負うことは出来るのだろうか
怖いんだ 怖いんだよ 冗談抜きで震えている 溺れているのは僕自身かもしれない
黒いスーツの溺死体だなんてね 滑稽過ぎて考えたくも無い
研究者の僕と堅実家の彼女は二度目の海を越える。
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