
|
 |
2002年04月14日(日) ■ |
 |
人ではない |
 |
4月でした。 わたしは遅刻すれすれの時間に焦りながら 定期券を買う列の後ろから3番目にいました。
そこで突然 前にいた女のひとが倒れました。
最初は、頭がおかしいんだ、と思った。 なんでわたしを振り返って見るんだ、と思った。 目は虫でも追ってるみたいで 右から左へぐるっと視線を送って、そのまま 後ろに倒れてしまった。
足をおおきくひらいて ごぼごぼ言って泡をふいて。
わたしはからだが動かなかった。 ただ、そのひとのからだの震えが止まってきたから 死んでしまった、としか思わなかった。 動かない。
離れたところでおばさんが気づいてくれて 駅員さんが走って来て、口のなかに タオルをつめこんでくれたけど。
動かなくなったそのひとの横で わたしはひとり分はやく定期券を買って 電車に間に合い
そのときに、なんでもいいから 人ではない何かになりたい、なんて 考えていたんです。
|
|