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2008年07月28日(月) ■ |
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八月の細い路地では |
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八月のとても暑い日には 家と家との間にある細い路地が 世界中の細い路地とつながってしまうことがある
窓の下に停めてあるはずの自転車も ひとりでに鍵をはずしてしまって 車輪がはじけ飛びそうなほど 勝手にペダルを回転させて 旅に出てしまっていることがある
小説や昼寝の隙間に挟まってくる ちりんちりん、という音は ご近所のお家の風鈴の音とは限らない 銀のスタンドの先っぽにくっついていた土が セントラルパークのものだったかもしれないし
ローマ市内の細い路地に停めてある真っ赤な自転車は 隣りに住んでる声の低いおばさんのなのかもしれない
猛スピードで世界中に出かけていくくせに 誰か人が通りかかったときにだけ 静かに佇んでいる自転車
八月のとても暑い日には けれど通る人なんて滅多にいない細い路地では
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