
|
 |
2008年09月22日(月) ■ |
 |
第一人称(4) |
 |
人混みの夕方 交差点の真ん中で転んだとき ひとつまみの私が肩からぽろんと 剥がれ落ちてしまったときに
慌ててかばんにしまいながら そのひとつまみの私が ポケットティッシュのように どこの駅前で配られていたものだったか 憶えていないことに気が付いた
それであちらこちらと ひとつまみずつ私を剥がしてみても 途端に砕けてしまう私も 爪にはさまってこびりついている私も 広告のはさんである私ですら どこの繁華街で受け取ってきたものだったのか 私を剥がす私の手でさえ
人通り途絶えた 深夜の交差点の真ん中では 剥がされ散って山と積もった 再生紙に埋もれながら
もう指の届くところをなくしてしまった 腕が一本 途方に暮れて立っている
|
|