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2008年09月15日(月)
お子守(4)









甥っ子4歳
ちかごろは恐竜にご執心
手をつないで行った図書館でも
恐竜の絵本ばかりを抱いてくる

なので最近の得意の日本語は
「読んで。読んで」
―読んで。読んで。
―えー。いま手が離せないんだよー。
―読んでー。
―むー。。

どれどれ、と差しだされた一冊を
ぱらちらりと一瞥、
―こ。これは

恐竜たちのかわいい絵柄とはうらはらに
なんと凄惨な物語であることか
新天地を求め遥か旅路を
大陸まで渡ってきたトリケラトプス一族
他民族が故郷を悠然と闊歩することに
耐えられない現地住民ティラノサウルス一族
ティラノサウルス一族に服従共存しつつも
恨みを持っているラプトル達、プテラノドン達、その他
生命、本能、勇気、哲学、家族、愛、大陸に吹きすさぶ風
それらが交錯し混ざり合って嵐となって
侵略と民族と差別とのはざまに
さまざまな思惑が入り乱れ飛び交い
主人公トリケラくん(兄)とトプスちゃん(妹)による
知恵の限りを尽くした交渉と戦略のタペストリー、そして
容易に予想されるべき憎しみの連鎖を残し
たったひとつの裏切りによって
哀しいまでにあっけなく訪れた終焉…
僅か20ページの平仮名だらけな文字列とイラストに凝縮された
恐竜たちの残酷、且つ雄大なドラマが
描ききってあるじゃないですか、甥っ子よ。
んじゃ、さっそく読んであげ…

これこれ、4歳児よ、どこへゆく
もういいのけ?