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2008年09月08日(月) ■ |
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ふたりは酔っ払ってしまった |
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板張りの天井から 落っこちてきたのが彼だったら 拾得物として駅員に 回収されていくのが僕だった
歌詞を忘れてあとは適当 ごまかし歌うのが僕であれば からだごと振り回してさ 踊り狂っているのが彼なんだ
お酒であれば何杯だって注文した 請求書は見知らぬライオンが首からさげて 星空のサバンナまで持ち去ってしまった ママさんは有線のかかるバルコニーに頬杖しながら ズボンを穿き忘れたロミオ達を 見下ろしている呆れ顔
夏休みの夕立ちになって 道路を削るほど打ちつけてるのが彼なら 白鳥座までの打ち上げに 失敗したロケットが僕だった
黒い車で地獄まで 乗り付けたのが彼であれば 戦場を自転車で走り回って 迷惑をかけて生き延びている僕だった
それでも、まだ間に合うかもしれないと 遠ざかっていく電車を見ているのが彼だったら 向かいのプラットホームに突っ立って もうすぐなのかもしれないと思うのが僕なのだった
昨日や今日、明日もそのあともみな とっくにこの世とあの世で封をされて 心配事ばかりしている生活者たちの方へ向けて 超音速度で置き去りにされてしまった
ふたりとも酔っ払ってしまったのだ
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