初日 最新 目次 MAIL HOME「馴れていく」


ごっちゃ箱
双葉ふたば
MAIL
HOME「馴れていく」

My追加

2009年04月20日(月)
朝が疾走る







電柱から電柱、また電柱へ
街灯の心臓を踏み砕きながら
朝は疾走ってきます

夜が病院の屋上でふかしてた
紙巻きを膝で消して
帰っていく迄、ほんの短く
ハモニカひと吹きした後のように

街から誰も、私も
いなくなっている時間があるのを
ご存知ですか

一日が終わればそれで
何もかもが終わりですから
何もかもをおもいださず灯りを消して
それでうつくしいはずだけれど

けれどもやはり
そこには人間がいなくてはならない、と
ごくあたり前な人間達がいなくては、と
朝のやつが爪を立てて疾走ってきます

あなたと歩き通したはずの夜も
その混沌が
ビルの影に、観覧車の根元に、或いは
煉瓦倉庫に押し込まれ、追いやられて

次に信号が変わったなら
昨夜なんかにされてしまって