妄言読書日記
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2002年10月07日(月) 『キノの旅3』(小)

【時雨沢恵一 角川電撃文庫】

「キノの旅」好きなのですが、さっぱりした読後感をお求めの方、割り切れない気分が苦手の方、快刀乱麻のような物語をお好みの方にはお薦めできないなぁ、と思います。
いつも、心にもやもやとしたものが残ります。
掻き毟るほどに激しいもやもやではなく、なんとなーくもやもや・・・


「愛と平和の国」
シズ様と陸再び。
三度?
そうだよね。そんなことで戦争が回避できるほどキノの世界は甘くない。

「城壁のない国」
だんだん、どちらのキノか見分けられるようになってきたような気がします。あくまで気が。
また、どうしようもないオチを・・・。
そうなるだろうなぁ、という予感は薄々感じてはいましたけれど。
ああ・・・

「説得力」
説得力。さて、どこのことを指しているのか。
ストーリー全体か、それともキノの最後の方のセリフなのか。
謎のお師匠さん、徐々に判明。
このキノは女の子の方かな。
うーん・・・。ストーリー上どっちでもいいから気にしなくてもいいんですけどね。

「同じ顔の国」
この話、好きでした。
シリーズの中でも。
「生き残ろうとする意志があれば、そんなに簡単に滅びはしませんよ」
ああ、よかったなぁ。
珍しく、そういうラスト。

「機械人形の話」
キノ、もっとなんかいってやれよ・・・と思わないではないラスト。
これでいいのか悪いのか、判断はつき難い。

「差別を許さない国」
面白い小話かと。
本当の青空云々〜のくだり、初期の時雨沢さんならひょっとしたら、書いていなかったんじゃないかなーなんて思ったり。
なくても、このシリーズらしいと思いますが。

「終わってしまった話」
あらら・・・。
騙された。
キノなのかと思った。
違って、ほっとしました。
なんとなく切ない。

「雲の中でb・a」
知っているのか知らないのか知っているのか・・・・・と。
ほんと、そうだよね。

しかし、毎回このb・aはよく考えられているよ。
凄いなぁ

「あとがきの話」
毎回、よくよくあとがきが凝っている。
あとがき好きとしては嬉しい。
今回も、なんだかにやりとした気分。



何が悪いとかどちらが悪いとかどこが悪いとか、簡単には言えないし、善悪を定める必要も本当はないんじゃないかと、このシリーズは思います。



蒼子 |MAILHomePage

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