妄言読書日記
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2002年11月13日(水) 『その死者の名は』(小)

【エリザベス・フェラーズ 訳:中村有希 創元推理文庫】

トビー&ジョージシリーズの第一作目が、ようやく翻訳です。
これで、翻訳されていないのはあと一冊となり、寂しい限りです。
早く読みたいような、まだ読みたくないような・・・。

一作目だからなのか、トビーとジョージの軽妙な会話はいつもより少なめのような気がします。
なかなか他に例を見ないコンビだと思うのです。
この二人の出会いの経緯が、私には事件の謎そのものよりも気になって仕方がありません。
ジョージは一体、何者だったんでしょうか。

事件そのものは、シリーズの中でもそれほど複雑ではありません。
でもやっぱり、これで終わりなのかなーと思ったら、ちゃーんとジョージが締めてくれました。
んー。ジョージ、丸々とした冴えない容貌だけれど、本当は切れ者。トビーと違ってそういう素振りは微塵も外に出さないあたりが、とってもいい。
かといって、間違い推理を展開するジョージを馬鹿にするわけでもなく、毎度うまく見えないところでフォローしているところが、いいコンビ。
「ぼくはトビーを長いこと知ってます。世界一いい奴です。トビーのことなら、なんでも太鼓判を押しますよ。――推理能力以外は」
と、思っていても本人には言わない辺りが、ジョージの気遣いなのでしょう。
トビーも決してお馬鹿なわけじゃないんですが、
「トビーはすごく速く脳味噌が回って、想像力が旺盛なもんだから、自分で自分を上手く納得させちゃうだけなんですよ」
というわけで、肝心の所で間違う。

この二人の活躍があと一冊なのは本当に寂しいですよ・・・



蒼子 |MAILHomePage

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