妄言読書日記
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2009年09月30日(水) 『ベルカ、吠えないのか?』(小)

【古川日出男 文春文庫】

これはなかなかの奇書。
キスカ島に残された、4頭の軍用犬から始まる犬の年代記。
第二次世界大戦、ベトナム戦争、ソ連解体・・・犬たちの年代記と戦争の世紀が絡み合って、複雑に派生した犬たちの系譜が様々な運命を経て、一人の男のもとにたどり着く。
犬をこういう角度から見たか、とうならされる。
ここには人間が都合よく想像する犬もいなければ、愛らしい犬もいないが、確かに犬の物語だ。
『星守る犬』の読後とはまた全然違う意味で、これを読むと犬が違って見えてくる。
おまえ、どこから来たんだ?と問いかけたくなる。



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