妄言読書日記
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2009年10月28日(水) 『きつねのはなし』(小)

【森見登美彦 新潮社文庫】

いつもの話とはがらっと雰囲気が変わった怪談じみた短編集。
いつもの仰々しい文体が笑いのためにではなく、不可思議さと怖さを演出するために使用されている。
4篇がちょっとずつずれて関連しているあたり、『四畳半神話大系』の方法にも似ている。

「きつねのはなし」
こんな不気味な話しも書くのか、と改めて感嘆。

「果実の中の龍」
モリミー的妄想話しをシリアスな方向に転化するとこんな切ない話しになっちゃうのか、と。

「魔」
オーソドックスな話しではあるのだけれど、モリミーが書くとなんか新鮮。
先日読んだ『705号室』はつまりこういう風に書けば怖さとか不気味さが出るのだよ、というお手本みたいな話し。

「水神」
ラストはやっぱり何か京都市内を騒がすような大きなエピソードで締めたいというのがあるのか。



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