妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2010年06月27日(日) |
『独白するユニバーサル横メルカトル』(小) |
【平山夢明 光文社】
表紙の通りの不快短編集。 なんでこのミスなの・・・?という疑問はあるが、まぁまぁかな。 グロだけでも狂気だけでも不快にはならない。 そこに共感するだけのまっとうさがないと心底不快を感じられないように思うんだけれど、この短編集は全体的に振り切れ過ぎてて絵空事に感じたなぁ。
「C10H14N2(ニコチン)と少年―乞食と老婆」 ニコチンって・・・。悪ふざけか。
「Ωの聖餐」 脳を食ってその記憶や能力が身につくというのはそう突飛な設定ではないが、人食いだけでもグロテスクなのに、さらに不衛生感をプラスしてひたすらうんざりさせる趣向。
「無垢の祈り」 これでラスト、主人公もかち割られるとどうせならいいのに。身も蓋も何もない。
「オペラントの肖像」 まぁ、そうだろうなぁ、というオチ。
「卵男」 卵男がそうであったからといって、誰かが不幸になるようなたぐいのオチではないよな。
「すさまじき熱帯」 一番ユーモア色があって雰囲気はよい。もちろんグロい。
「独白するユニバーサル横メルカトル」 メルカトルというと、鮎か地図のどっちかしか思い浮かばないが、ここでのメルカトルは地図。 地図視点というちょっと変わった話し。 へぇ・・・
「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」 なぜかちょっといい話し風な終わり。 ちっともいい話しじゃないのに。
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