妄言読書日記
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2011年07月08日(金) 『少女』(小)

【湊かなえ 早川書房】

由紀と敦子はそれぞれ人が死ぬところを見たいという目的で、夏休みに一人は病院へ、一人は老人ホームへボランティアで行く。
ここまでだとなんとなく、乙一あたりが書いてそうですが、そこに由紀と敦子の友人としてのすれ違いや、家庭の事情なんかも絡み合い、縦横に伏線が張り巡らされているんだけれど、その張り方がきれい過ぎるというか。
周到なのはよいことですが。

由紀と敦子が手を取り合って駆け出していくあたりで、終わればすごい爽やかなんですが、そうはいかず、紫織の遺書で終わるという。
そんな嫌なところで終わらなくてもいいんじゃないのーと言いたい気もしますけど、『告白』の例もあるし、あまりきれいに終わりたくない作家なのかもしれません。
そういう嫌な感じは悪くないと思います。



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