妄言読書日記
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2011年09月14日(水) 『人質の朗読会』(小)

【小川洋子 中央公論社】

地球の裏側でテロ組織に誘拐された日本人8人が、それぞれに自分の人生のエピソードを語る。
けれど、一番最初に人質達はみんな助からなかったということが書かれている。
盗聴器に残された、人質達のささやかで日常的なエピソードがひとつひとつ語られるけれど、終わるたびに、しかしもうこの人はいないのだと思う。
犠牲者8人というのがただの数字ではなく、一人一人の人生が確かに見えてくる。
きわめて静謐な語りが、祈りのような小説。



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