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沙夜



 満天の星空...1

PPPP... PPPP... PPPP...


午前3時。
彼の携帯の目覚まし音が部屋に鳴り響いた。
私はがばっと飛び起き、ベッドルームからリビングに続く階段を降り
テラスに出た。
彼も私に続くようにしてテラスに出る。


月は姿を消し、ホテルの照明もすべて消え、暗闇が静かに広がっていた。
無くしたものを探すような気持ちで、私は空を見上げる。


星…、見える。たくさん見えるよ。
さっきの10倍。
ううん、30倍? もっとかな?



私の目が少しずつ暗闇に慣れてゆくと、ぼやけたファインダーの焦点があうように
夜空の星はその数を増してゆく。


ね、すごい、すごいよ。
あ〜、こんなだったら、星座の予習してこれば良かった。
星がありすぎて、何が何だか分からないよ。



ほら、あれはさそり座じゃない?
下に向かってしっぽがあるでしょ。



ほんとだ。
アンタレスが赤く光ってるものね。



はしゃぐ私に、彼は「良かったね。星が見えて」と微笑む。
後ろから抱きしめられ、私は頭を彼の胸に預けるようにして天頂を仰ぐ。
そこには北斗七星があった。


冷たい風が少しずつ体温を奪う。
ずっと見ていたかったけど、部屋に戻った。


沙夜、おいで。


彼の懐に滑り込む。


(あったかい…)


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2003年04月15日(火)
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