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■ ごたごた。Hくん。
一週間後、S子から電話があった。 その後も何度か。でも私は出なかった。
私がS子を避けていると分かると、留守電にメッセージを残していった。
「私の家の合鍵を持っていると思うんですけど。 こちらに送って下さい!」
以前は彼女の家に頻繁に出入りしていたので、 私は彼女の家の合鍵を渡されていた。 この1年4ヶ月、返さなくては思いながらそのままでいた。 私の態度に対しての彼女の要求はもっともだ。
S子がこのメッセージを入れたのが、土曜日。 私が聞いたのが、日曜日。
(月曜日に送ろう)
しかし日曜日の夜に再度、電話&メッセージ。
「留守電のメッセージは聞いて頂けたんでしょうか!? もし未確認なら電話下さい!」
(確認しましたよ。明日送りますよ。ちょっと待っててよ)
と、心の中でつぶやく私。 S子は、相当イライラしているようだった。
月曜日、再々度電話。 この日は留守電をセットしてなかったので、メッセージはなし。
(今日、簡易書留で送ったから、明日には着くってば)
私は電話が鳴る度に、びくびくしていた。
夜、Hくんから4ヶ月ぶりの電話があった時、 私はまっ先に『S子のことだ』と思った。
「もしもしっ、どうかした?」
「あ、いやー、S子さんがさー、合鍵を返して欲しいとか言ってて」
「うんうん。合鍵ね、今日送ったから。明日には着くと思う」
「沙夜にちゃんと伝えたら、折り返し電話しろとか言われてさ」
「そっか、ごめんねー。Hくん、関係ないのに巻き込んじゃって」
「別に沙夜が悪いわけじゃないから、謝ることないけどさ」
「でも、Hくんにそんな電話するなんて……」
「最近ちょくちょくかかってくるよ。 仕事中だろうが、家にいる時だろうが、おかまいなしで。 かけてくるのはいいんだけど、話が長いんだよ〜」
(ふーん。かけてくるのはいいんだ)
Hくんが奥さんのことを冗談ぽく愚痴るので、私は思い切って 去年奥さんからメールが来たことを話した。
「へー、あそう? どんなこと言ってた?」
「逃げ出してしまいたい、とか。私はひとりぼっちだ、とか。 かなり我慢してるみたいよ? 大丈夫なの?」
「波があるんだよね。昨日からまたプチ落ち込みしてる」
Hくんのメールをチェックしたり、別れると言ってみたり、 今も不安定らしい。
「私、内緒でメールしてる罪悪感があって。 3〜4回やりとりしてたら落ち着いてきたみたいだったから、 それでもうメールを止めたんだけど」
「……ま、別にいいけどね。内緒でメールしてたって」
Hくんは突き放すように言った。
「夫の言い分、妻の言い分とかあるだろうし。 色々大変だろうけど、頑張って。……それじゃ」
「はい、じゃあ」
15分くらい話をして、切った。
2004年02月18日(水)
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