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沙夜



 ごたごた。後味の悪い結末。

結婚前から続くごたごたのループ。
原因は多分……奥さんの感情の揺れの激しさ。
きっとこれからも、別れる別れないを繰り返すんだろう。


私は奥さんへのメールで、Hくんに話してしまったことを書いて謝罪した。
もうこれ以上、Hくんにも奥さんにも秘密は持っていたくなかった。


そしたら奥さん。
私がHくんに話した翌日に自分も話した、というではないの。


「もう、私達夫婦は終わりです。
 私が沙夜さんより早く話していたら、状況は違っていたかもしれませんけど」


えっ、えっ!?


「私が主人に話した時、彼は初めて聞いたような顔をしていました。
 前日に沙夜さんから聞いて知っていたのに……。
 私はあの表情を忘れることが出来ないでしょう。
 
 結局私も彼も、嘘を付き、隠し事をし、騙し合っていたんです。
 主人は、嘘も方便というけれど、私はそういう大人のズルさが許せません。
 もうお互いに、信用出来ないと思います。

 とりあえず、別れることは考えていません。
 そこそこ好きくらいでちょうどいいのかな、って。
 夫婦といっても所詮他人。
 私は何を期待していたんでしょう。 

 これからは波風立てずにやっていこう。
 これが私の出した結論です。
 
 長いこと秘密に付き合わせてしまってすみませんでした」


奥さんは私を責めていた。
『どうして黙っていてくれなかったのですか!? せめてあと一日!』と。


そして深く失望していた。Hくんにも私にも。
多分自分自身にも。


もう、奥さんからメールは来ないだろう。
Hくんからも、来ないかもしれない。
もし来たとしても返事しない方がいいかな。
関わちゃいけないかな…って思う。










人は嘘をつく。
自分を守る為に。誰かを守る為に。



2004年02月20日(金)
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