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2013年08月15日(木) ザックジャパン再建策

<国際親善試合:日本2−4ウルグアイ>◇14日◇宮城スタジアム

サッカー日本代表が実力どおり、南米の強豪ウルグアイに完敗した。スコアをみると2−4で日本が善戦したようにも見受けられるが、内容的には大敗に近い。日本の2得点は試合の趨勢が決定したのちに上げたもの。ウルグアイとの実力差は明らかだった。

日本はコンフェデ杯から、ブラジル(0−3)、イタリア(3−4)、メキシコ(1−2)と連敗し、東アジア杯では中国(3−3)、オーストラリア(3−2)、韓国(2−1)に負けなかったものの、親善試合のホームで、この惨敗である。日本と世界のトップクラスとの間には、大きな実力差があることが大衆レベルで明らかになった。

思えば、W杯アジア予選を突破した直後、すなわち、コンフェデ杯ブラジル大会に臨む直前、「この大会は優勝するつもりだ」と豪語した日本代表の主力選手がいたような気がする。日本のマスメディアのヨイショ記事に判断力を失って思い上がった結果だとは思うが、この選手のセリフと結果とのギャップに哀れさだけが漂う。

筆者は当該コラムにおいて、日本の実力はアジアのベスト4にすぎず、「W杯ベスト8」常連国の実力はまだついていない、と、しばしば書いてきたので、このような結果に驚いていない。むしろ、日本のメッキが剥げてよかったと思っている。

アジアでは通用するが、中南米、欧州のトップクラスに通じない日本は、ではどうしたらいいのか。W杯開催まで10カ月というこの期に及んで即効薬があるはずもない。新戦力の投入といっても、レギュラークラスと彼らの実力に大差はない。ならば、引いて守ってカウンターに賭ける作戦もないとはいえないが、それでは前回南アフリカ大会と変わらない。グループリーグの相手次第で予選を突破する可能性がないとは言わないが、ベスト8入りは相当厳しい。

日本の弱点はCBである。ウルグアイ戦でも、CB吉田麻也(サウサンプトン)が失点につながるミスを連発した。前半27分に縦パス1本でFWスアレスに裏を取られ、それがFWフォルランの先制点につながった。後半7分には中途半端なクリアをまたもや失点につなげられた(その直後にDF伊野波と交代)。

吉田のできはコンフェデ大会から一貫して悪い。もう一人のCB、今野泰幸(ガンバ大阪)も不安定である。そもそも、この2人のうちのどちらかにDFラインを統率する力量があるのかどうかが疑問である。攻撃を重視するあまり、DFラインを無理やり上げると簡単に裏を取られる、それを恐れてラインを下げると、相手にバイタルエリアを使われて、決定的な場面をつくられる。マンツーマンなのかゾーンなのかも曖昧である。とにかくDFに規律がみられない。行き当たりばったり、成り行きまかせで守っているとしか思えない。ラインコントロールが失われているから、SBの上がり下がりにも不安気だ。ボランチ(遠藤・長谷部)との連携も不安定なまま。

DF、とりわけCBの力量からすれば、フィジカル、判断力、統率力、運動量において、南アフリカ大会のレギュラー闘莉王、中澤に劣っている。吉田は若い。明らかに経験不足。さらに、コンディションも悪いように見える。故障があるのではないか。それだけではない。そもそも、今野はCBの選手なのか。彼がG大阪に移籍した2012シーズン、G大阪の守備は崩壊したではないか(その結果、G大阪はJ2に降格)。

攻撃陣も悪い。いまのレギュラークラスに絶対的に不足しているのが運動量、走力だ。実力において劣っている日本代表選手が、格上の相手に勝つためには、相手より運動量(走力)で勝るしかない。相手DFの穴、空いているスペースを巡る戦いにおいて、走力で相手に勝てれば、決定機となるようなパスやクロスを上げることができる。アジアのDF相手ならば、マークを外せるたような場面でも、強豪国では無理。だから、いま以上のスピードと動きの質で相手を上回るしかない。そういう意味で、フィジカルの強い選手を代表に送り込むべきなのである。

日本代表は、記録を確かめてはいないが、南米の代表チームに勝てないような気がする。南米の守備は伝統的に厳しくて強い。その理由は、彼らが生活を賭けて守備に専念してきたからだろう。日本のサッカー選手にはその厳しさが不足している。いまさら厳しさを身につけろと叱咤しても、そう簡単にはいかない。日本のプロサッカーの歴史は20年足らず、向こうは100年を超えているのである。だから、その厳しさを潜り抜けるためにも、走力で相手を凌駕することだ。そういう判断に基づいて代表選手の選考をやり直せば、日本にも活路は見いだせる。もちろん、ザッケローニが代表監督を続ける限り、それは無理というものだが...。


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