15's eyes
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2003年03月08日(土) 兄の就職

昨日でほぼ成績処理が終わり、少しほっとした。
年度末なので、来週から別口で忙しくなるかと思うけれど、
今週末はちょっとした息抜きができそう。

…と思った金曜日に、兄が遊びに来て、のんびりできなかった。
疲れた。


兄は今春学校を卒業するものの、
まだ就職が決まっていないからあせっている。

家庭持ってるし、30歳になっちゃったし、
あせるのはわかるんだけど。

あせって
雇用条件とか何も調べずに、
目の前にぶらさがった餌(求人)にすぐに食いついて、
後悔しないの?
とか、
いくつか試験に落ちたみたいだから、
どうして落ちたのか分析して
面接や筆記の対策はしてるの?
とか、
尋ねたら、逆ギレされた。

そりゃぁ、3歳下の妹にそんなこと言われたら、
プライドも傷つくんだろうけど、
童顔な妹が姉に間違われ続けた兄弟だからね…
少年のような兄なのだ。

「おまえなんて、
たいして苦労もせずにストレートで国立に入って、
公務員になったんだから、俺の苦労なんてわからないんだよ。」
と捨てゼリフを吐かれた。

あぁ、表向きはそうだけど。

私は反論しなかった。
今まで何十回も言われ続けたセリフだったから。
私のこと、兄にはそう見えて仕方がないのかもしれない。
私はグチを兄にこぼしたことはなかったから。

大学はともかく、
就職難に院と教採の傾向が違う二つの勉強の大変さとか、
働いて何度も罵倒されてあり得ないことで責められて
自信なくして辞めようなんて思ったことが未だにあることなんて、
そんな苦労自慢なんてするだけ無駄だと思った。

「おまえだって仕事辞めてみろよ。俺の苦労がわかるから。」
と兄は勝ち誇ったように言ったが、
私は呆れた。
私と張り合ってどうするんだよ。
何も得られないじゃない?

やっぱりさぁ、
とりあえず、今のところ表向き順調に言ってる人間は、
落ち込んでる人間に向かって何を励ましても言葉は届かないのかな。
私がさっさと仕事を辞めて、また一から何か出直して、
新しい苦労をしないと何を言っても無駄だし、
まっすぐに受け止めてもらえないのかなと思った。

確かに、所帯持ちで、30歳での就職はたとえ学校出て資格とったって、
難しいかもしれない。
でも、所詮、最初の仕事に就いたのも、
仕事を辞めて学校に入ったのも、
結婚を決めたのも、
兄の意志だ。
誰のせいにもできないと思う。

だったら、
苦労自慢する前にまずは自分でできるかぎりの努力しろよ
それからグチを言えよと思うんだけど。
勉強はもう嫌だとか、
就職のことを考えるのもう嫌だとか、
言ってる場合じゃないだろうと思う。

努力してうまくいかないことばっかりだって、
明けない朝はないじゃない?
家族に甘えるのはわかるけど、
家庭を持った以上、30歳だと自負してる以上、
口だけ男になるなよと言いたかった。


と、
たくさんたくさん「責め」の言葉は思い浮かんだんだけど。



結局、やんわりとベスト尽くすことと、
よく考えたほうがいいよということだけを繰り返し言って、
兄を見送った。



見送った後に画家のゴーギャンの話を思い出した。


画家のゴーギャンは妻子がいて順調に船舶関係の仕事をしていたけれど、
35歳で画家になるためにあっさりと仕事をやめた。
妻は猛反対したそうだけれど、
ゴーギャンは、
「どうしても芸術家になりたいんだ。
そのためにはどんな苦労でも耐えられるし、がんばれる。」
みたいなことを言ってただ一人、
旅を続けながらさっぱり売れない絵を描き続けたという。
けれどゴーギャンは、
それでも絵を描く喜びを噛みしめ、
芸術家である自分が好きだったと思うよ。


兄には、自分がいきいきと生きることができる道を
探し責任を持って歩んでいってほしいなぁと思った。

こんなキツイ妹を持って兄も嫌かもしれないけれど、
いまいちしっかりしない兄、
悩みの種だな。
天国のお母さんが泣いてるよ。



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