lucky seventh
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2005年12月08日(木) 神様が死んだ日。

それじゃあ、あまりにも かわいそすぎる。
















神様はいない。
だってそうでしょ?
それじゃあ、あまりにも かわいそすぎる。
だからね、居もしない神様に祈ってたって仕方がないのよ。
祈るくらいなら、この生に_ 
必死で自分の足で立ってやる。
這い蹲ってでもしがみついてやる。

神様はいないんだよ。
あの日、私の中で信仰はなくなった。 それって死んだも同然。でしょ?
                  それって殺したも同然。でしょ?







「神様。そんなものは居やしない」

そう言って、断定的てに笑う彼女に 彼女の周りを囲むものの雰囲気が
どこかしらいきり立つように、イラついたように空気が震える。
勘の鋭い彼女にならば、そんな様子にすぐに気がついていた。
けれど、彼女はそんなことを気にも留めはしなかった。
あくまではっきりと譲らないと言うように、強調するように言う。

「居やしないんのさ」

常にあれば珍しく、その冴え冴えとした彼女の様子に
誰かしら気づくのだ。
そして、彼女がこれ以上傷つかないように側に寄り添うのだが、
残念なことに今、彼女の傍にその誰かはいなかった。
彼女が己が自身で 
右腕と称した青年も、
盾と呼んだ少年も、
肩を並べて歩いた男も。
彼女は1人だった。
その事実に、ここにいる誰もが気付きもしなかった。



これは、夢なのだろうか?
ぼんやりとした意識の中、
自分の吐息が白く、白く登っていくのを見て、
少女は、はっと気付いた。
無意識に目線が下がる。
何気なく口元に当てた手には、手袋をつけていた。
そう、それは失った過去に自分が愛用していた
そして、あの時に片っぽを失い 捨ててしまった手袋だった。

あぁ、これは夢なのだ。
視界が歪んだ。
でも、涙はこぼれない。
だって、あの時 嗄れ果てるまで泣いたから
だって、これは夢だから
戻らない昔の 今となっては悪夢となり果てた
あの幸せだった頃の思い出。

世界が崩壊したのはこの後だった。

誰かに呼ばれた気がした。
振り向くと、誰かが抱きついてきた。
身体にふっとかかるぬくもりに 少女はただ目を見開き鳴き叫んだ。


もう、あの頃には戻れないと。













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・












「イース」
その呼び声に少女は笑って振り向いた。
「あら、姉さん?」
こげ茶色の髪が肩にかかるようにゆれる。
それと、同じように長い薄茶色の髪がなびいた。
少女のほうに向かって。
「うわっ!?」
似たような面影を持つ、顔が並ぶ。
抱きしめられるようにして、少女の頭の上に顎をのせて
姉さんと呼ばれた女は笑った。
「ふふ」
女の方が頭一つ分、背が高いせいか少女はやけに小柄に見えた。
「ただいま。イース」
満面の笑みでそう言う女に少女は苦笑いしながらも
「おかえりなさい。」
そう返すのだった。

「俺は無視かい?お二人さん」


「まったく、君たちの仲の良さといったら…」
やれやれと呆れたように笑うのは 金色の髪に青い瞳の男だった。
少女 イースの姿を見るや否や、いきなり走り出した女に
気が付けば、あっという間に廊下で置いてけぼりをくらった。
しかもご丁寧に、女は自分の持っていたスーパーの袋を床に置いて。
男の両手にはすでに袋一杯でこれ以上持てないというのにだ。
「何も置いていくことはないだろ?クリス?」
「ごめんなさいね。ノース。だってイースを見つけてしまったんだもの」
薄茶色の髪の女 クリスは悪びれもなく言った。
男 ノースはガクッと苦笑をしたままうなだれた。
「君は彼氏もよりも、妹 だからね。」
「だからね。」
それはまるで仲の良い友人か家族のようで、
およそカップル同士の語らいには見えない二人に
「あらあら。そんなんじゃいつか捨てられちゃうわよ?姉さん。」
二人が買ってきた山のような食材を前に、夕飯の準備をしながら、
イースは困った大人達ね。とからかうように言うのだった。











神様を殺した少女と神様を憎んだ男。


ナナナ

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