lucky seventh
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「 !!」
笑った目の前の女に男は瞠目する。
「お前は誰だ?」
純然たる疑問と疑惑を持ってして、 見知らぬ女に男は問うた。
レッド・アラーム −めざめの刻。
落ち着かない。 そんな面持ちで、男は目の前で微笑む女をちろちろと盗み見る。 傍目から見て明らかに挙動不審なのだが、男はそんな自分の態度に 気が付かないのか、とにかく必死でこの場をどうにかしようと 思っているがみえみえだった。 女もまたそんな男の動作を気にした風もなく完璧な笑顔で 見つめているため、その心のうちで何を思っているのかうかがい知れないが。
昼下がりのざわめきの中、 机一枚挟んで奇妙な空間を作り出し、男と女は対面していた。
机の上には運ばれてきたばっかりの暖かいご飯が湯気を上げている。 食欲を誘う匂いに、しきりに男の胃が空腹を訴えかけているが、 しかし、男は手を伸ばす気もしなかった。 目が覚めて、目の前に見知らぬ女が笑っていた。 目覚めるきっかけの第一声は、その見知らぬ女の声だということは うすぼんやりした男の意識の中では何となく理解していた。 それが見知らぬともいえ普通の女だったら、 自分はまた酔った勢いで禄でもないことをしたんんだろうと納得ができた。 そして、自分に引っかかるなんて運のないやつだと男は思って笑えたが、 その女は明らかにおかしかった。 まずその出で立ちだ。 第一、そういった時の女は大抵横であられもない格好をして寝ているのだが、 その女は現実ではとんとお目にかかれないような和風と中華風を織り交ぜたような 衣装に、現在なら絶対銃刀法違反で逮捕されるぞと言いたくなるような凶器 を腰に帯刀して大平原で寝転ぶ男の顔を覗き込んでいたのだ。 男はおおいに慌てた。
「ここはどこだ?」 「お前は誰だ?」
笑った女は、男の質問に答えることはなく。 とにかく男に立つように促し、おれよあれよと言う間に 男は女に連れて行かれた。 それが今現在だ。
「おい、お前いきなり連れて来て何なんだ? とっと質問に答えろ。」
男は苛立つ気持ちを押さえつけ、女を睨みつけながら言った。 すると、今まで笑顔だった女が、笑顔なのは変わりないが 何だか少し困ったように笑っているのに、男は気が付いた。
「おい?」
男はその女の態度に虚をつかれた。 苛立った気がそがれ、どことなく怒っていた顔にとまどいの色を浮かべ 女を見た。 女はそんな男の変化に、女はほんの瞬きのする間に不思議そうな色を浮かべ、 そして、その色が消えた瞬間、真剣な色で男に視線を合わせ 口を開いた。
「βθα-ωπζλ」
そこでやっと男は、 おかしいのは女ではないのだということに気が付いた。
ナナナ
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