lucky seventh
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2006年12月07日(木) 愛の許可書。 レッスンワン 愛から格下げ、恋い慕うということ。

「二度と来んなや」
















彼女に会ったのは、引っ越してきた最初の日に
挨拶に行ったその一度きりで、その時は私の中での彼女の印象は
地味な服装にゆるく結わえた黒髪、おまけに眼鏡のこれまた絵に
描いたような典型的な暗い文系の女性であったわけで、

「私は弱いんです。
だから……テメェーを思い続けられるほど強くわねぇんですよ。」

オーケィ?
そう言って笑う、隣の部屋の住人を見たときに、
あぁ、人を見た目で判断してはいけないとあれほど口をすっぱくして
言われたことをまざまざと思い出したのだった。

場所はマンション
私の住んでいる部屋の隣で、今正にこの修羅場は繰り広げられていた。





その男は、キレイな顔をしていた。
その男の母も、またキレイな顔をしていた。
その顔だけで男を捕まえ、その顔だけで男に取り入ろうとして、
策略も計算のできない頭の使えない女だった。
けれど、バカな男はたくさんいた。
そして男の母は、1人の男の愛人となった。
男は裕福な家で生まれ、その家の庶子として育った。
頭には使える脳みそが入っていたことが幸いして
男は自分の周りにどんな人間が集まるのかということをよく知っていた。
だから、男は偏愛され狂愛されることはあっても
それらを愛することはなかった。

「だから、私はあなたを愛することをやめます。」

だから、そう言った目の前の女を
愛してしまったことに、愛さないと言われてやっと気付いた。

「あなたを愛して傷つくのが痛いから、怖いから
私は自分が可愛いから、あなたを捨てます。」

それでも女を愛しているということに。
これまで幾度となく、傷つけ泣かせた女は、

「…けれど、あなたが私を愛してくれているのなら
私は、あなたが私を愛することだけは許してやるよ。」


どこまでも優しかったということに。


ナナナ

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