ちょっとだけ期待はしてた、けど。 ほんとちょっとだけね。
そしたらほんとに出くわした。
息子を小脇に抱えていた私に 向こうは気づいていなかったのか、それとも他人を装っていたのか
軽い会釈だけ。 私もそんなもんかと思って軽い会釈。
そりゃそうかという思いと少しの失望が混じる そのまま立ち去ろうとした私に向かって
驚いたように慌てて駆け寄ってきた。
当たり障りのない会話に 少しだけの秘密めいた耳打ちが加わる
横を通りかかる若い女の子と挨拶してる。 あーやっぱりこの人は穏やかな雰囲気が好まれてるんだろうなぁ。 もちろんそれは私だって同じだ、だからこそ。
あたしだけのだって言ってしまいたくなった。
冗談っぽく言ったら困ってた。そうだよね。そりゃ。 逆の立場だったら私だって困る。
まずい。また携帯に手が伸びそうになってる。
|