日記帳




2009年12月31日(木) 2009年度ベスト5(読書編)

・堀江敏幸『回送電車』『おぱらばん』
今、「好きな作家は?」と聞かれたらこの人の名前を答えるのが一番しっくり来るかもしれません。今年も、マイ・ブームは継続中。きっと来年も続きます。
隅々まで整った文章は、いつ読んでも心が満たされます。それぞれの章タイトルも詩的で美しい。

・中村弦『天使の歩廊』
住む者を心を狂わせるほどの建築物、というのがどのようなものなのか、想像力を掻き立てられるとともに、自分のイマジネーションの限界もある意味で感じた一冊。この方の作品は、ぜひまた読んでみたいです。

・パトリック・ジュースキント『香水』
この生々しく濃密で、おぞましくも美しくもある世界が映像化されるとどうなるのか、映画版を見てみたいような、見てみたくないような。「匂い」は「食」と同じくらい、人間の根源的な欲望と結びついているのかもしれません。

・森見登美彦『きつねのはなし』
これを選ぶかどうかで迷ったのですが、インパクトという点では他を押しのける勢いがありました。途中で一度読むのを投げ出してしまったほど、体を奥深くをぞわぞわ這いまわるような気味の悪さを持つ小説です。でも、取り込まれるとどっぷり浸ってしまいます。

・エイミー・ベンダー『燃えるスカートの少女』
奇想と幻想の短編集。冒頭の「思い出す人」(逆進化を始めた恋人を見守る語り手の話)に、軽い衝撃を受けました。長編も翻訳されているようですが、ぜひ短編をもっと読んでみたいものです。

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図書館を活用することを覚えた今年は、単行本の積読本を順調に消化できた年でもありました。来年も、素敵な本との出会いがありますように。
それでは皆様、良いお年をお迎え下さいませ!





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