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2003年08月15日(金) 友達に戻ろう、もうあたしは貴方を愛さない



夢を武器にして馬鹿みたいに高尚だと思い込んでた自分を初めて真っ向から否定した。
あたしは間違ってる。
夢を武器になんかしちゃいけなかったんだ。
夢を持ってて、其れに向かって頑張ってる事はちっとも偉い事なんかじゃない。
それで、普通だ。
夢の為に沢山の物を犠牲にして、夢を叶えて、それで普通なんだ。
あたし、一番大切なこと、忘れてた。
夢は語るものじゃなく実行する物なんだよね。

高尚な人間なんていない。

下駄市は結局行かなかった。
雨だったし…
Mと相談して、代わりに映画に行こうって話になりました。
あ、忘れてたけど、今度静香とランチに行こう!って話してそのままだったなぁ。
いつ行くか決めなきゃ。

つか下駄市は行こうにも行けなかったって言った方が正しいのか。
だってあたしはやっちゃんに会ったもの。
やっちゃんに会った。
あの子に。
放心状態で動けなかった。
あの時の笑顔のままあたしの家にあの子がいた。
何も言えなかった。
今でも何を言えば良かったのか分からない。
とりあえず雨の中を逃げた。
帰ったらもうあの子は居なかった。
最後まであたしは意地っ張りで馬鹿だった。
最後まであの子は優しくて嘘吐きだった。
そんな最後だった。
何年も前から側に居るのに、2人ともちっとも変わらなかった。
そうしてあたし達は終わった。
あたしとあの子に“さよなら”なんて言葉は必要無かった。
目と目を合わせて、静かに笑った。
あたしは泣きそうな情けない笑顔だった。
あの子はすまなさそうに辛そうに笑った。
その直後にあたしは雨の中家を飛び出した。
あの子はあたしを追わなかった。
全部、分かってた。
なにもかも雨が流してくれる気がした。
涙も全部雨に溶けた。
そうしてあたし達は終わった。
最後までそんな終わり方だった。
横から見れば2人ともちっとも変わってないし、ちっともハッキリしてない。
中途半端な終わり方に見えるかもしれない。
でもこれで良かった。
あたしたちはこれからも年に何度かは顔を合わさなければならない。
だから“さようなら”なんて言えないんだ。
だからこれでよかった。
逃げた事もあの子があたしを追わなかったことも。
これでやっと全部が片付いた気がした。
今までの事全部忘れようだなんて思わない。
全部とても大切な思い出だった。
あたしはあの子をとても愛していた。
あの子はとても誠実にあたしの愛に応えてくれた。
そうしてあたし達は終わって、これから友達としてまた始まる。
全部、これでよかったって思える日がきっとくるから。
あたしはあの子を愛していて本当に良かった。
何年もあの子だけを見ていて本当に良かった。
良かった。
あの子に会えて。
不器用だけどとても優しくて、口は悪いけどとても誠実だった。
いつも無言で手を差し伸べてくれた。
手を繋いでてくれたあの温もりを今でも覚えてる。
愛してる。
大切な人。

あたしは康光を心から愛してた。

あたしがあの場から逃げた事も、あんたがあたしを追わなかったことも。
全部誠実すぎるが為の馬鹿らしいけれど正しい答えだ。
あたし達は間違ってなんかいなかった。
誰にも理解してもらえなかった。
誰にも賛成されなかった。
誰にも祝福されなかった。
でも幸せだったから。

次に会う時は、もっとマシな笑顔を見せてよ。
あたしもとびきりの笑顔でやっちゃんを迎えるから。
だから。
しばらくは、さようなら。

昨日雨の中で頭冷やして、必死で自分を説得した。
これ以上、あたし達は此処に留まってはいられないんだって。
進む事はとても大切な事。
外であんなに泣いたのは初めてだった。
死のうとは思わなかったけれど目の前が真っ暗だった。
この先どーしたらいいのか全然見えてこなかった。
友達に慰めてもらおうだなんて到底思えなくて、結局独りでいつまでも泣いた。
あたしは手紙で、友達と思えるようになるまで会わないと言ったけれど
今はそう思わない。
あたしはあの子を愛しているけれど、きっと友達としても上手くやっていける。
普通に笑える。
あたし達は今日を区切りとして前に進むから。
きっと大丈夫。
今は泣いてばかりだけれど、きっと明日には笑える。
決着を付けるのはとても悲しい事だった。
けれど始まりがあれば終わりがあるのは当然で、長い間ずるずると引き延ばしてきたけれど、
もうこれ以上は引き伸ばせないってちゃんと自分を説得した。
終わる事はとても悲しいけれど、あたしたちには答えが必要だった。
いつかは終わらなきゃいけないと分かってた。
だから、こうやって会って終われた事はとても素晴らしい事だと思う。
以前できなかったことをやってのけた。
あたし達、成長してないように見えて、随分大人になったね。

あたし達は終わったけれど、
これからの人生、やっぱり関わりあって生きていく。
これで良かった。
終われてよかった。
あの子を愛せてよかった。
1人の人間を此処まで愛せた事を誇りに思う。
さようなら。
ありがとう。
いつになったら出来るかなんて分からないけれど、
あたし、やっちゃんを愛せて本当に幸せだったから、
またいつか、やっちゃんと同じくらい愛せる人を探して、恋をするよ。
そうしてお互い、きっと幸せになろうね。




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