バイトの仕事が一段落ついた時、店長のフマッチが俺に話し掛けた。
「マスイさん(俺)メニューとか拭くときは、今日からこのフキンで拭いてください。」
「何?この100均っぽい布は?」
「コレ今日買っちゃったんスよ。むしろ買わされた。」
「は?なんで?」
「昼のランチが終わって休憩してたら、店に怪しい女の人が寄って来たんスヨ。 なんか『○○という国では国が学校を建てても、教師を雇うお金がないんです。この布を一枚買えば教師を一人雇うことが出来るんです。あなたに慈悲の気持ちが少しでもあるなら、勉強がしたくても出来ないかわいそうな子達のためにも、この布を買ってくれませんか?』って言ってきたんです。
そんで5枚買っちゃったんスヨ。」
「いくら?」
「5000円…」
「なにそれ詐欺じゃん!!」
「いや、でもこれで教師が5人雇えるし。 っていうか俺ぜってぇバカっすよね!! なんで買ったんだろ!? 巧みなトークに騙された!!」
「そうか…いいんじゃない?
教師5人雇えるし」
それ以外彼にかけてやる言葉が見つからなかった。
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