容易に確かめられた温度は
今はもう、ない
手に触れたの あの木陰
頬ずりしたの あの夜道
抱きしめたの あの季節
忘れることを日々過ぎ往くことを僕達はただただ甘受する 生きる事を余儀なくされた地獄にも逝けない亡者のように
足枷が重過ぎて キスも出来ない
足枷が重過ぎて 繋がりあえない
足枷が重過ぎて 一番大事な言葉が出ない
いくら触れても分かり合えぬというのならいっそこんなものは絶ち切って ただ君の温度に溶けてしまいたくなるのです先など夢見ず
月が浮かぶ ぽっかりと
熱が透ける じっとりと
蜜が絡む こっくりと
求めるのは愛撫そして突き刺すような与え得るような感情 逃げられない言葉から体を隠す君の美しい背中
簡易的な温度ならいっそ冷たいほうがマシです。
|