ゼロの視点
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昼過ぎにKYと、とあるレストランへランチへ行った。フランス人がまったくいないに等しい界隈にある、カレー屋。もう、おわかりかと思うが、この界隈の大部分の人達は、“とっても日に焼けている”。
今まで何度もパリに来ているKYだが、短期間の滞在ゆえ、きっとこういった界隈に足を踏み入れる機会は、今までなかっただろうと思ったゆえのチョイス。
私とKYが昔いた某大学の仏文科は、アル意味、根拠もなくスノッブなところだったという話に花が咲いた。もともとパリという街自体が、全世界に幻想を抱かせやすい都市なのは百も承知のうえだが、それにしても、わが大学は、けっこうスゴかったと思わざるを得ない。
自主映画上映会にしても、テキストを選ぶだけにしても、必ず専門家ぶった“通”気取りの方々が色々意見し、「フランス文化を学ぶにはどうのこうの」と意味不明なウンチクを並べる光景をよく目にしたものだ。また、この状況を暗に教授陣が煽っていたともいえる。
とはいう自分も、その一派の中に片足を突っ込んでいたものの、あくまでフランス文化に対して「特定の幻想」を抱こうとする人々には、なかなかついていけないものがあった。
そう、それは、まるで一種の新興宗教のようなモノにすら、私には感じられた。
友人KYは、こういった雰囲気を在学中から怖いと思っていた一人。また彼女はまったくスノッブな性格じゃない。しかし、こういったイメージがそのままフランス人に投影されて、何度もフランスを旅行したのにもかかわらず、あらゆるフランス人がスノッブで、口を開いたら文学&映画談義などを、ニヒリスティックにやっているものだという幻想から脱出できず、「フランス人怖い病」にかかっていた。
ま、簡単にいえば、「おフランスかぶれ」に悪い意味で影響されすぎてしまっていたのだろう。
しかし、KYは私と夫などを通して見聞した「現実のフランス像」等に触れていくうちに、最近はフランス、それもパリに対して妙なアレルギーを持つことがなくなったと言った。私達の存在が、彼女にとって“解毒剤”として役にたったのであれば、嬉しいことだ。
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