ゼロの視点
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2002年11月23日(土) 姑、上陸!!

 夕方、5時すぎに姑が我が家にやってきた。彼女の来訪のギリギリまで仕事をしていたので、慌てて近所にディナーの食材の買い物へ飛んでいく。

 私の住んでいる界隈では、めったにみかけない、ウルトラ・ブルジョワーズ・ファッションで、いつものように登場する姑(笑)。到着するや否や、我が家のデコレーションがあまりにも、キッチュだと批判。それにカチンときた夫が、わめきだし、彼女の登場たった1分で親子喧嘩勃発。ま、これもいつものこと・・・・。

 カトリックバリバリで、ブルジョワの姑と、アンチ・カトリック&ブルジョワというその息子(わしの夫)の間には、長年この終わりのない闘争が続いている。それプラス、私が夫以上に"Non Conformiste(反体制主義とは辞書にて解説があるが、つまりはしきたり等、まったくどうでもいい人間)"なので、姑がいくら私を通して、息子に注意を与えたくても、うまくいかない。コメディーなのだ。

 とはいえ、いつも彼女の忠告ばかり聞いているのも鬱陶しい。ということで私は、今回、夫にひとつのアイデアを与えてみた。姑は年をとっているとはいっても、典型的・生粋のフランス女。ゆえに、完全なヘテロセクシュアル。なので、ひとり面白そうな男性をこのディナーに招いたら、彼女が彼との話に夢中になって、デコレーションに関しての趣味の違いなど、あっという間に忘れてしまうのではないか?、というアイデアだ。

 すぐに夫は、このアイデアに大賛成したものの、じゃあ、誰を呼ぶか?、ということが問題になってくる。あてもないまま、姑がすでに上陸していて、夫も彼女とバトル、私もバトル。傍目からみたら、フランステレビによくある制作費もあまりかからない、激しい討論番組のような雰囲気(バトルとはいえ、決して喧嘩でないんだけれど、ね)。三者三様に、口から泡を吹き出さんばかりに喋っている(笑)。

 そんな時、電話が鳴った。以前の日記にも書いた精神科医Gだ。彼はちょうど一人でつまらないと言ってきた。

おお、まさに「飛んで火にいる夏の虫」とは、このこと!!。

 さっそく、我が家に来るようにうまく夫に交渉してもらい、この電話の30分後、本当に彼がやってきた。するとどうだろう、我が姑、あっという間に彼女の関心が彼に向いていく・・・。私の読みは正しかった。彼が来るとわかった瞬間に、口紅を塗りなおしていたし・・・。

 いくつになっても、異性の前では美しくいたい、というフランス女の典型が私の目の前にいる。アッパレ。

 精神科医Gのほうはというと、彼はかわいくて若い女性が大好きなので、果たして彼にとってこのディナーが本当に楽しかったのかどうかは知らんが・・・・。

 彼は、少し前に女に捨てられて、現在ちょっとばかり鬱モード。そんな彼は自分の思いを断ち切るために、毎日メランコリックな詩を書き綴っている。で、たまたまその詩を私達のリクエストに応えて、音読してくれた。その詩を聞きながら、我が姑は、目を細めてうっとりと聞いている(爆笑)。

 メールも何もない時代に慣れている彼女としては、恋文だとか、詩だとかが何よりも大好きゆえ、断ち切れぬ想いにあふれた男の詩などは、まさに彼女にうってつけ。こうして、バトルに始まったディナーは、詩の鑑賞会となっていった。

 時計が12時を回る頃、Gの携帯が鳴った。彼は救急の精神科医。マレ地区にて自殺を図ろうとしている女性を、思いとどまらせてほしいという緊急連絡だった。姑もそろそろ1区にある、パリ上陸用の自分のアパルトマンに戻らねばならないので、宴もたけなわ、お開きとなった。

 嫁の立場としては、適当に盛り上がったし、ちょうど良くGの携帯が鳴って、程よい時間にお開きになって、あーーー、よかった、よかった、というのが本音。


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