ゼロの視点
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午前6時半過ぎに、東京駅に到着。旅行もこれで、おしまい・・・・・。まだ通勤ラッシュもはじまらぬ早朝の東京駅周辺は、妙に閑散としていて奇妙だ。 朝食でも食べようと思い、駅構内のコーヒーショップに立ち寄る。寝ぼけたまま、適当に注文して、黙々と食事をしているうちに、大分時間が経っていたようで、だんだん客層が出社直前のサラリーマンに変わってくる。食事も取らずに家を出て、会社近くに到着してから一息入れるように、コーヒーショップにて朝食を取る彼ら達。
一方、そんな客層の変化を見ているうちに、だんだんと眼が覚めてきた私達。夫が「だんだんとPDG(社長さん)が増えてきた」と言う。以前にも書いたが、きちんとスーツを着ている日本人サラリーマンの姿が、夫にはすべてPDGに見えてしまう。
実家に戻るために、東京駅のホームに立つと、たくさんの“PDG”のラッシュアワーが始まりだした。自らの会社に向かって一直線に進んでいくサラリーマンの姿を見て、呆気に取られている夫。夫にとっては今回は5回目の日本訪問だし、日本社会のことも平均的なフランス人よりも知っているのだが、それでも、この光景には驚くらしい(笑)。
この群集の中に、ほとんど外国人の姿がないことも、夫にとってはビックリする点とのこと。まあ、確かにパリの国鉄駅で、あるいはメトロの駅で、フランス人ばかり(または白人ばかり)しか乗客がいないなどという状況は想像すらできない。そこには、黒人もいれば、アラブ人もいて、そしてアジア人もいる。そう・・・、色々な人種が混ざり合っているのが当たり前になっているからだ。
これらの光景をボーッと眺めながら、二人で「これって、もしかしてル・ペン、もしくは、サルコジの理想国家なんだろうね」と思わず笑ってしまった。日本人ばかりで、みんな秩序を守っているように見える日本っ!!。途切れなく無賃乗車をする乗客らが、改札を飛び越えている光景もない。
ホームの喫煙がダメになり、端に設けられた喫煙コーナーだけで、きちんとタバコを吸ってる日本人を見て、またまた夫が驚いている。用意された灰皿の前で、喫煙者の人だかり。しかしそれ以外の場所には、吸殻がほとんど落ちていないという状況。きっとそれでもタバコ嫌いな日本人の目には、あちこちに落ちているかもしれないタバコの吸殻が見えるのだろうが、フランス人である夫、もしくはフランスでの光景になれてしまった私の目には、なにも吸殻が見当たらないのだ。
“規則”というものに対する考え方、そして態度の歴然とした違いに、早朝から圧倒された。
さて、夜は、ロンドンの幼馴染Mの両親宅で夕食。我が家から徒歩5分。夫と私の母で、友人M不在のままの両親宅へ向かう。Mの父親が全部料理を用意していてくれて、それがまたとても美味しくて感動。Mの家族、特に、父親は敬虔なカトリック信者。先祖をたどれば、隠れ切支丹に繋がるほど。
あいにく誰もフランス語乃至英語を話さないが、そんな時、アンチ・クリスチャンでありながらも、バリバリの神父だけしか存在しない学校で教育を受けてきた夫が、コミュニケーションの一環として賛美歌をラテン語で歌いだすと、Mの父もそれに反応し、二人でラテン語でアカペラ大会になっていく(笑)。賛美歌を聴きながら、ここまで爆笑したのは、おそらく生まれて始めての経験・・・・、だと思う。
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