ゼロの視点
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2009年04月25日(土) カレーが食べたい!!!!!!!!

 今月のはじめ、大学時代の友人YK嬢がパリに来ていたときのこと。彼女が来ると、必ず一度は足を運ぶのが北駅からメトロ・La Chapelle駅までのびる通り(rue du Faubourg Saint-Denis)一帯にある、通称インド人街。

 ここで、格安なわりに美味しいカレーを食べながら、またあーでもないこーでもないと延々とおしゃべりするのが恒例になっている私たち。今回も、そのつもりでこの界隈に出かけてみるたら、あーら大変。いきつけの店をはじめ、たまに行く店、好奇心で入ってみた店、よく買い物をするインド系スーパーマーケット、インド系総菜屋、雑貨屋、床屋などぜーーーんぶが全部、閉まっている!。

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 唖然としながらも、まだどこかの店があいているのでは?、と期待しながら歩いてみるものの、どこまでいってもシャッター通り。この界隈の店が閉まっているという状態に遭遇したことが未だなかった私は、ふと、きっとこれはインドの祝日かなにかで、皆が一斉に休んでいるのでは?、などと予想をたててみた。

 とはいえ、祝日にしては雰囲気が重い・・・・。なんで、なんで、なんで?!?!?!?!、と思いつつ、カレーを食べるつもりでいた私たちは、この状況を目の当たりにして、ますますカレーが食べたくなってきている。カレーが食べられなかったら発狂するのではないか?、というほど・・・・・。

 絶望的になりながらも、界隈からはプーンと香辛料の匂いが・・・・・。YK嬢とふたりで、《仲間内だけでカレーを独り占めしてるんだよ、クッソー!!!!》などといいながら、なぜここまで一斉に店が閉まっているか?、という理由とカレーを一緒に捜し求めていた。

 すると、とある店のシャッターのところに、黒い布がかかっているのを発見。とりあえず、この界隈が喪に服していることが想像できた。YK嬢と一緒に、《特別な日といえど、祝う日じゃなくて喪に服す日だったのね〜》《あはは、ちょっと間違えちまったね〜》などと、能天気におのれの間違いを笑い飛ばしつつ、ひたすらカレーをもとめ歩き続けた。

 そのうち、シャッターに黒い布だけじゃなく、抗議文のようなモノが貼ってあったのを発見。YK嬢がすかさずそれを引っ剥がし、私はその文章を読み込んでみる・・・・、すると、だ・・・・、なんとスリランカ政府による、タミル人浄化が進んで、昨日(4月6日)だけでも1800人のタミル人が、スリランカ政府軍に虐殺された、という、フランス在住タミル人コミュニティーが作成した告発文だった。

 ひぇーーーっ、と、YK嬢を驚きながらも、さらに空腹に拍車がかかる私たちは、ひたすら営業しているかもしれないレストランを捜し歩くことを優先させた。そして、ようやく砂漠に奇跡のオアシスを発見するかのように、一軒のカレー屋を発見、二人で狂喜乱舞して店に突入して、満腹中枢をこれでもかぁ!、とばかりに満たして店を出た。

 欲望が満たされた後、ようやく先ほどYK嬢がひっぱがした告発文について、もう一度深く理解してみる余裕が生まれてきたので、またその文章を読み込み始めた私。そして読んでいるうちに、たしかに一概にインド人街と簡単に呼んでいたこの界隈は、タミル人によるものだったことは知っていたはずなのに、そのタミル人という点と、ニュースでたまーーに、チラっとしか扱われなかったスリランカで点を、ひとつの線にして考え付くことがなかった自分に気がつき、突如、滝汗状態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 18区のアフリカ人街にはあまり足を運ぶことはないのだが、10区のインド人街には頻繁に足を運び、そのたびに店員と話してきたつもりだった私だったが、肝心なことは自分にあまりにも関係なかったことだったらしく、完全スルーしていたことが発覚。なんともイタイ状況としか形容できん・・・・・・・・・・・。

 以後、あらためてネットで検索し続けること数時間・・・・・。結果、この件に関しては、日本語よりも、英語やフランス語での情報のほうが色々な側面を得ることができ、面白く感じた。

 一概にインド人街を呼んでいたこの界隈も、スリランカで7割以上を占めるシンハラ人(仏教徒)から追われた、タミル人(ヒンズー教)が全世界にディアスポラしてきてはじめた界隈、と表現するのが正しいことになる。

 タミル人がやっている店で買い物することは、スリランカ政府からテロリストとして指定されている、《タミル・イーラム解放のトラ=LTTE》に資金調達することと同じみたいなニュースは、スリランカ政府よりの情報をベースにしたモノだと推測。

 そして、このLITTEがタミル人が生息するスリランカ北部に逃げ込み、一般人にまぎれこむことで、これを《人間の盾》として篭城し続けているという理由を建前に、スリランカ政府軍は攻撃しまくっている・・・・、というのが、フランス在住タミル人コミュニティーによる告発文から推測される内容、というわけだ。

 夫婦喧嘩にですら、双方の言い分があるように、ここまでこじれてしまった民族闘争の中には、双方の言い分があるのは200%以上確かなこと。不幸なことに、チベット問題ほどマスメディアを動かすことがないスリランカのタミル人問題。

 個人的には、スリランカ軍はそういった隙をついて、限度を超えてやりたい放題しているのかな?、という印象をぬぐえないの昨今。いつも穏やかだったこのタミル人界隈で、先日、道路に座り込みをして抗議をするタミル人とフランスの機動隊との間で衝突が発生。かなりの負傷者が出た模様だった。

 この衝突の前日には、私はまたこの界隈に出没して、色々な香辛料などを買い占めるなど、楽しいショッピングをしていたばかりだったというのに、だ・・・・。民族浄化と表現できそうなほど、一般人を殺しまくる惨劇・・・・・・・・。テロリストを倒すため等の大義名分はあるとはいえ、とにもかくにも、即刻停戦することを心から望むゼロでした。




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