私の田舎長野県須坂市の「臥龍公園」公園という近隣ではちょっと有名な公園があります。2つの山と池と動物園やら運動公園やらの複合した公園で、山の形が「臥せた龍」に似ているところから「臥龍公園」と命名されています。竜が臥せる姿など誰もしらないのですが・・・。
私の通っていた小学校がその公園のすぐ近くにあったことから小さい頃からそこでよく遊びました。池は「龍が池」といって、結構大きくてボートを楽しめますし、冬は数え切れないほどのカモ(だと思います)が渡ってきます。実は今年はその「龍が池」ができてから70周年の年だそうです。
須坂市は昭和の初め頃まで製糸産業が非常に盛んでした。そのなごりで市内には多くの蔵が残っていて観光スポットになっています。今は大分廃れましたが製糸産業盛んな頃は料亭があったり、「芸者さん」がいたりで結構な羽振りだったようです。母の実家が「すき焼料理屋」だったのでその頃の話を聞くことがあります。
その製糸産業は世界恐慌の影響で大打撃を受けました。町には職を失った人が数多くいたようです。その失業者に職を与えるためにに考えられたのが、臥龍山の麓に「池」を掘って大規模な公園を作ろうと言う案でした。それが今の「龍が池」が出来た理由なのだそうです。
当時は機械などほとんどない時代ですから「手堀り」だったそうです(失業対策事業ですからできるだけ多くの人が働ける「手掘り」が良かったのでしょう)。関係者の大変な苦労の末に大きな池が完成しました。池の中央には東西を結ぶ100m位の橋が架けられました。池の南部分には小さな島が築かれ弁天様を祀っており、その弁天島と池の岸とは10mくらいの赤く塗られた橋で結ばれています。池の岸には多くの桜が植えられました。また池の周りの10軒ほどの茶店が開店しました。春は花見で相当賑わいます。夏には花火大会がありました。冬は張り詰めた氷の上でスケートが楽しめました(今は禁止のようですが)。
昔の人は素晴らしい事を考えたものだと思います。自分の時代の人々だけでなく、将来の子孫達にも大きな贈り物となっています。郷土の先輩に脱帽です。
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