12月5日はスリランカ議会の総選挙ですので少し政治情勢を紹介します。
スリランカの国会は一院制で定数は225議席、任期は6年です。議会は「Parliament」です。従って国会議員はMP「Member of Parliament」となります。行政は大統領制をっており大統領が閣僚を任命します。大統領は任期6年。現大統領は1999年12月に選出されており、任期は2005年までです。その大統領が議会の解散権を持っています。
さて実は昨年の10月にも議会総選挙がありました。その選挙ではどこの政党も過半数が取れず結局大統領が属するPA「Peoples' Alliance」が他の少数政党と連立を組んで与党となり政権を維持することができました。
しかし国内の民族対立への対応と、現政権の政策への不満等から連立を組んだ少数党が6月に連立から離脱し、野党に回ってしまったので、現政権が過半数を取れなくなってしまったのです。憲法では議会総選挙の後1年間は大統領は議会を解散できないことになっています。大統領は大統領は国民投票を計画したのですが、野党側は国会での大統領不信任決議を求めて対立が続いたのです。大統領は国会は閉鎖して打開策を探しました。しかし最後の手段は前回の選挙からの一周年の10月まで待って議会を解散することでした。
さらに、7月にコロンボ近郊の国際空港で爆弾テロ事件があり、スリランカへの観光客が極端に減少してたことに加えて、9月11日のニューヨークのテロ以降さらに飛行便数・観光客が減り国内の経済も冷え込んみました。
その後、大統領は野党第一党のUNP(United National Party)との連立を目指して水面下での交渉が続きましたが、10月10日、与党PA党議員7名がUNPに寝返るという事態に陥り、ついに大統領は国会を解散したというわけです。
議会解散以降、12月5日投票に向け選挙運動が続いています。新聞紙上は暴力事件の報道やら、対立議員の誹謗中傷で毎日話題に事欠きません。もちろん最大の課題は「民族対立をどう解決していくのか」ということです。野党第一党のUNPはLTTE(タミールの虎:国際的にはテロ集団と見られている)との対話を通じて解決しようとの方針ですが、タミール人の票目当てというのはミエミエです。PAも汚職イメージが払拭できず過半数獲得は困難と見られています。
選挙運動では、それぞれの政党がシンボルを掲げてポスターやらテレビ広告を行っています。PAのシンボルカラーはブルー、シンボルマークは椅子です。UNPのシンボルカラーはグリーン、シンボルマークは像です。また第三党のJVP(共産党)のシンボルカラーは赤、シンボルマークはベルです。町はこれらのシンボルで満ち溢れている状態です。これは寺を読めない人、書けない人用にわかり易くするためのものだそうです。
12月5日の選挙の結果、この国に安定・紛争解決は訪れるかどうか、難しそうですが期待したいところです。
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