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2003年01月28日(火)  紡糸

病院の帰りにまっすぐ家に向かわず街へ出た。診療が終わってドアを開けたのが朝10時。冷たい風が顔に吹き付ける。今日は、昨日より寒い。

いつもの喧噪はどこへやら。人はいるものの、声を発することはなく、俯き加減でトラックのエンジン音に掻き消されていく。アーケードを抜けると、目の眩むような日差しと共に、ちらちら、ちらちら、雪が舞っていた。風の音と車の音が混ざって、私はマフラーに顔を埋め、いつも歩いている街を知らないところのように思って歩いた。

本屋に寄って数冊。心地よい重さになったカバンを揺らせてしばらく行くと、好きだったカフェがなくなっていた。ここで読みたかったのに。残念。仕方ないので素通り。
そうだ、スケジュール帳がないんだったと、デパートのある方向に戻って、エスカレーターで7階まで。手帳のコーナーが随分小さかったので、なかなか見つけられずぐるぐる。やっと辿り着いた場所には、驚いたことに「半額セール」の張り紙がされていた。そうなのか。世間はそうなのか。
明るいグレーに赤と青のラインが入ったシンプルな一冊を手に取り、レジへ運ぶ。まぁ、1月は殆ど空白なわけだが、これからは値段以上に活用するから安心したまえ。今年はきっと、忙しくなるから。よろしく頼むぞ。ぶつぶつ。

結局、家の近所でワンコインランチ。オフィスレディの方々で賑わう店内は、さも私が知っている街中のようだった。こんなところにあったのか。別に探していたわけじゃないけれど。まぁ、少し安心した気持ちで、本を読みつつ、箸を動かす。

ざわざわ、昼下がり。雪も止んで快晴、相変わらず風は冷たい。家はすぐそこだ、焦ることはない。太陽はまだ沈みそうにない。帰ったら、薬を飲んで少し寝て。起きて元気だったら、また何かしよう。しんどかったら、そのままゴロゴロ。今日が、良い日になるといい。そして明日も明後日も、繋がっていくといい。途切れないように、紡いでいくのがいい。誰かの所為ではなく、誰かの為のみでもなく。「今日はいい天気ですね」みたいに言えるといい。私に向かって。「今日は好い日だね」。

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