さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年01月02日(木) にゃん氏物語 若紫16

光にゃん氏訳 源氏物語 若紫16

その見事な字を そのまま姫君の習字の手本にしたらいいと女房たちは
言った 少納言が源氏に返辞を書いた お見舞いして下さった尼君は
今日にも危ない状態なので ただ今から 皆で山寺へ移る所です
ありがたいお見舞いのお礼は あの世からでも差し上げましょうと言う

秋の夕べはいつもより人恋しくて せめてその人の親戚の少女を得たい
という 望みがいっそう強くなっていくばかりの源氏でした
「生ひ立たん〜消えんそらなき」死ぬに死にきれないと尼君が歌った
晩春の山の夕べに見た面影が恋しい それとともに引き取って一緒に
なれば やはり不釣合いを感じるのではと 不安な気持ちの源氏でした

手に摘みていつしかも見ん紫の根に通ひける野辺の若草
手に摘んで早くみたいなあ 紫草の根につながる野辺の若草を
この頃の 源氏の歌である

この十月に朱雀院へ帝の外出があるはずだ その日の舞楽には貴族の
子息 高官 殿上役人などの中の優秀な人が舞い人に選ばれる
親王方 大臣をはじめ音楽の教養の高い人は そのために新しく稽古を 
始めている だから源氏の君も忙しくて 北山の寺にもしばらく見舞い
を出していない事を思い ある日に使いを出した 山からは僧都の返事
だけが来た
先月の二十日にとうとう姉はなくなり 世の宿命ですが悲しいです

源氏は今更のように人の命の弱さを感じた 尼君が気掛かりにしていた
女王はどうしているだろう 幼くて祖母の事をどんなに恋しがっている
だろうと想像しながら 自分も小さい時母に死に別れた悲しみを
はっきり覚えていないなと思ったりした
源氏からは丁寧な 弔い品などが贈られる そういう時はいつも
少納言が行き届いた返事を書いてくるのでした

尼君の葬式などを終えて 家族は京の邸に戻っているというので
源氏は少し経ってから 自分で訪問した ものすごく荒れた邸に少ない
人数で暮らしているから 幼い人は怖がっているだろうと思った
以前迎えた座敷で少納言が泣きながら経過などを語る
源氏も涙がこぼれる


さくら猫にゃん 今日のはどう?

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