|
|
■■■
■■
■ タンスの肥やし
あっという間に ぐるっと季節はまわって 今年も夏がきた。 昨年タンスの中に詰め込んだ、うるさいアイツが目を覚ます。
『あー! 私、買われる相手を間違えたかもしれないわ』 「はあ、すいませんね」 あたしは、昨年 ブルーの水着を買った。
『あー このまま一度も海を見ないで 朽ち果てるのかしら?』 「んー、行きたいけど日焼けするのは ヤダな」
『やっぱり水着として生まれてきたからには、より多くの人の目にさらされたいわけよ! わかる!? この気持ち』 「んー、わかんない。そんな見せるような体型でもないし…」
『あー やっぱり間違えたわ! あぁイヤだ、イヤだ ああはなりたくない! お隣さんと同じになるのは、絶対イヤなのぉ!』 あたしは、水着の入っている引出しの隣を そっと開けてみた。紺色に赤い花の浴衣が静かに横たわっていた。
あたしの夏の予定は、まだ 真っ白です。
2003年07月08日(火)
|
|
|