流れる水の中に...雨音

 

 

秋の気配 - 2002年10月17日(木)



夜になると ひんやりとした風が流れていた。
それは川面を走る風が 冷たさを巻き込んだせいか
それとも 底冷えがするという地理的な気候の所為か
そこは一足先に 秋の風情をただよわせていた。


「もう少し時期が早ければ 
この店の前あたりで鵜飼もみられるんです」と
運転手が教えてくれる。


そこはお盆には灯籠流しの淋しい光を見ることが出来
また 帰り来た者たちを 送りだす 山にともす火を
みられる場所でもあった。


川は静かに流れている。
明かりの灯らない川面は それでも小さく煌めく。
流れがある所為か 黒い布を広げたような平たい川面も
小さく波打つ。


一品に彩りを与えていた まだらに紅がかった柿の葉を
想い出にどうぞと 小さく包んでくれた。
お香の漂う栞も添えて。


季節を感じることは 簡単なようでとても難しい。
素朴なそのままの姿を楽しむことも またひとつだけれど
趣を一つ加えて より奥行きのある旬を感じることが出来る。


秋の訪れをカレンダーや行事で知るよりも
萩の花や 紅葉や 柿の実の色づきで知らされたい。


電車に乗ると 仕事帰りの疲れた人たちと出会う。
彼らが 秋の訪れに気が付くころには もう 秋はなく
冬の気配が 其処此処に ちりばめている頃だろう。














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