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『新婚さん』 - 2002年10月21日(月) 今日は本を三冊買った。 中の一冊は面白い趣向のもので 『マイブック』という名の本で 中には来年一年間の日付が打ってあるのみ。 それを日記帳にしようが 手帳にしようが スクラップブックにしようが お好きにどうぞ というようなもの。 なんとなく面白くなって買ってしまった。 それなら普通のノートブックを買うほうがよほど紙質もよいし 使いやすいかもしれないというのに。 あとの2冊は オムニバスの短編集と 長編1冊。 短編集の中にある『新婚さん』というタイトルの話に すうーっと 自分の思考が入り込んでいった。 深夜の電車の中。 人もまばらのその電車が自分の降りるべき駅にさしかかったとき 彼はそのまま電車を降りずに駅を見送る。 なんとなく帰りたくなかった。 彼は新婚1ヶ月。家では家庭という小さな枠組みの中で 幸せの象徴のような妻が待っている。 だからこそ 帰りたくない。 結局帰りたくない理由は その変化した生活の中に自分を順応させてしまうことが 何処かしら恐ろしく感じたと まあそういうこと。 その主人公は男だったわけであるけれど その男にとって家庭とは汚くも清らかでもあるクモの巣のような場所で 小さな妻の分身で埋め尽くされた場所。 それを自分の分身であると 受け入れるには まだ 時間が浅すぎる。 自分が違う環境に放り込まれたとき ふと それが自由の幅が大きいほど 拘束感を感じてしまう。 たとえばこの男のように 妻の待つ家のある駅で降りなくとも それはそれで良いのだけど でも その駅で降りてしまう。 そういう自分の意志とは別のところで 脅迫観念に支配されて 決まった概念の中に閉じこめられてしまう。 そういうとき 逃げ出したくなる。 それが当然のことと それが自分の生活そのものだと それが自分の分身であると 疑問を持たずに日々をおくれるようになるまで その拘束感から逃れることができない。 そういう私もなかなか 自分の環境を受け入れることが出来ていない。 そういう意味でやっぱり私も 『新婚さん』っていうことなのだろうか。 ...
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