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おなじく - 2002年12月15日(日) 私はきみが行き過ぎるのを 此処で見届ける 独りにされたきみは まるで 主を失った迷い犬のように 今来た道や 憶えのある庭を 心許なく 足早に探し歩くけれど 解決の糸口を手繰るように 考えを巡らせるけれど きみは戸惑い立ち尽くすけれど 私も此処で立ち尽くすけれど 波のように次々と押し寄せてくる季節の中で私は 花が咲いていたことも 憶えていないよ 緑渦巻く激しい息吹がつくりだす 清々とした翳だって 憶えていないよ 憧憬や幻想の美しい観念や思想の 具体化したものだって おなじく 小さな欠片を積み上げることなく叩いて潰して 巻き上がるその塵や埃が一瞬煌めいたものをみて 私は 「きれい」 だと言ったよ 何処かで咲いた花を切り取って ベースにさして 私は 「素敵」だと 微笑んだよ おなじく、 。 いつからかそれらは 細かい分子になって(いたんだとおもう) 視界から 感覚世界から 姿をけしたよ 足元に目をやると ヒールの踵が少しすり減っていた ...
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