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 シンプルで居させて。 - 2003年10月20日(月) 以前 家庭のある人を好きになったことがあった。 彼も私も あまり口数が多くはなかったけれど なにがしかの感性が似ていたようで 愛でるもの 笑う事柄 想い巡る思考のきっかけを 同じ場所で発祥していた。 当然 ただ好きだっただけで だからどうとか それからどうするとか それ以上の考えなどなかった。 ただ単に好きだっただけだった。 状況が許せば 一緒にいた。 一緒によく出かけたし ふざけあったりもした。 同じ本を同じように良いとおもうし 同じお芝居を同じように質の良いものだと感じられた。 彼は以前 役者をしていたから そういう意味でも とても感受性の鋭い人であった。 それが良くもあり 悪くもあった。 一つの言葉から広がる無限の意味合いの可能性を 遠くまで見渡して 片殻を探さねばならなかった。 きっと 彼にとっても そうであったのかもしれない。 単純ではなかった。 考えが違うと そこで没する。 没した意見を拾い上げて 理解する意味がなかったから。 考えて悩んで問いかけようと思ったとしても 理解しあう意味がないと感じていた。 そう 彼に話すと 彼もそうだと感じていた。 人と人との関わりで もっとも親密だけど もっとも理解しあわない関係というのは こういうものだろうと思った。 すっきりしないものを捨てて行くと 生活も環境もシンプルになる。 だけど私は シンプルで居させてくれる人を大切に思う。 望めば望むだけ 何ごとも複雑になる。 だから本当は シンプルで居ることが 一番難しいのでは無いかなと思う。 私の口から溢れる言葉に もう一つの意味合いを含ませないように シンプルで居させて。 ... 
 
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