小旅行。 - 2003年11月14日(金) 高層ビルの窓から 雨の街を見下ろすと 夜の闇の中に 沢山の傘の花が咲いていた。 私の知らない街だった。 人の数は 余りにも多くて 余りにも騒がしかったけれど まるでそこには 体温のある生き物が まったく居ないのじゃあ 無いかなとすら 思っていた。 そこには何でも揃っている。 古い文化も 新しい兆しも 亜種も スマートも 洗練されたイメージも 溢れる程に。 その土地を歩く。 歩くと言うイメージ。 その街で 歩くイメージを本当に感じられるのか疑問だった。 まるで飲み込まれて 渦の中に 放り込まれた感じしかしない。 「歩く」というのは もっと自分の体重の重みを感じながら その重力を地面に叩き付けながら足を進めること。 そこでは本当に そんな風に感じている人が いるのだろうか。 歩くと言うことを知らない人たちが沢山いる。 いや もしかして自分が「歩いている」とは 思っていないのかも。 ボードの上に両足を付けたまま 波の上をするすると滑っているイメージなのかもしれない。 そしてそのまま滑り続ける。渦の中に。 思わず立ち止まってしまった。 こんなふうに感じたのは初めてだった。 それは私が歳を取った証拠かな。 まるで基礎工事のなされていない街。 すがるもののない 容赦のない街。 ちょっと恐かった。 ...
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