みちる草紙

2002年07月16日(火) 台風の目

台風が通過するというので、午前中は絶対にオフィスから出たくなかった。
窓の外は次第に雨足が強まっている。遥か下方を見ると、それでも外出しなければ
ならなかった気の毒な傘の群れが、横殴りの豪雨の中、黒いアスファルトの上を
足早に行き交っている。こ〜んな雨の中歩いたら靴がダメになっちゃう〜(。-。-。)y-~~

電話が鳴った。いつもしちめんどくさい用事ばかり言いつける例の会長である。
でも今日は神戸に出張しており、一旦帰京しても所用を済ませたらその足で
小樽へ行ってしまうからまぁいいか。「はい、めいこです(。・。・。)」

『めいこさん、あのぅ、実はさ、すごく恐縮なお願いがあるんだけど。
あまりに恐縮なお願い過ぎて、お願いしながら恐縮してしまいそうなんだけど』
うわあ!めちゃくちゃイヤな予感!「…ど、どんなことでしょうか…(~_~;)」
『私、実は昨日財布を落としてしまってですね、こっち(神戸)にいる間は
I(社長)にキャッシュを借りれたんですが、それで今から東京に戻る訳なんですが
Mキャピタルに寄ってすぐその足で小樽に行かなきゃならないのに、なんと
チケットを買うお金がないんですよ。カードも財布に入ったままだったんですよ。
…それで、あなたさぁ、今、俺に貸せるだけの現金、持ってる?』

…は、はああああああ????(^◇^;)

「銀行に行って下ろしてくれば、少しくらいありますけど…(-。-;)」
『まあ、そうだね、往復のチケット買って、ホテルに泊まって…だから
5〜6万、いやそれじゃちょっとキツイかな、7〜8万もあれば助かるんだけど』
「足りますか?それで。食事もすればタクシーもお使いになることだし(-。-;)」
『う〜〜〜〜〜〜ん』「…取りあえず、10万持って行きます…(-。-;)」

出先の同僚から電話が入ったので、これこれしかじかでオフィスをしばらく
空ける旨を話した。『お金貸しに行くんですか…』「ええ…」
よりによってこの天気の中を、雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ。ヒラはつらい…(-_-;)

13時ちょうどに東京駅に着く筈なので、出る時間を見計らっていると、またその
迷惑会長からの電話。『今熱海なんだけど、台風で運転を見合わせているから
13時に着ける可能性は皆無になったんですよ。まぁ動き出したらまた電話入れます』
このまま待機してろってか。もうお昼なんだけど。お弁当も買いに行けないじゃない。
しばらくして『あのねぇ、あなたMキャピタルの××さんの電話番号知ってる?』
「はい」『彼に電話をしてだね、私が今こういう状態で遅れる旨を伝えてだね、
それから…新幹線がどのくらい遅れて東京に着くかを調べて、私がお邪魔できる
時間を割り出して先方に伝えておいてくれる?お願いします。んじゃ』

・・・急ぎの仕事が他に山ほどあるのに・・・σ(-_-;)

その後、新横浜に着いたという電話を受けてオフィスを出た時には、雨はすっかり
上がって晴れ間が見え、思った通り、湿気がムンムンと街を覆い尽くしていた。
新幹線はおよそ1時間遅れであった。汗ばみながら小走りで八重洲中央口に向かう。
しかし、いない!携帯にかけてみると留守番電話!おい#出ないかくそおやぢ!
するとひょっこり『やあ、ありがとありがと。悪いねぇ〜』と横合いから現れると
アタシが渡した封筒を無造作に胸ポケットに突っ込み『これは明日返すから!』と
言いながら、アタフタと人ごみに紛れて消えた。明日は厳しく取り立てよう。
暑さのせいか妙に息が上がって、溜め息ばかりがやたらに出る。

このお使いのせいで、またしてもあれとこれとは残業する羽目になったなぁ。
もと来た道を帰って行くアタシの後ろ姿は、とても寂しそうだったに違いない…。


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