みちる草紙

2004年10月12日(火) ドメスティックヴァイオレンス・ショー

この頃、深夜帯に限り4チャンネルが映らない。
他は全局、夜中も通常どおりクリアに放映されているのに、日テレだけが砂嵐。
うちだけなの?それとも、何か不祥事があって自粛でもしてるの?(-_-;)
NHKに次いでよく見るチャンネルなのに。

8チャンネルに変えると、リングの上で殴り合う白人男女の姿が目に跳び込んできた。
アメリカ辺りの、とあるショーを紹介していたようなのだが
60歳くらいのマッチョマンとプラチナブロンドの玄人っぽい女性がタッグを組み
対するは、いかにも素人な二人の女性で、こちらは母子らしい。
驚いたことに、母娘が、実の夫(父親)と愛人を相手に死闘を繰り広げているのであった。

妻が愛人に掴みかかり場外乱闘の最中、夫(父親)は愛人を庇い妻の髪を掴んで
リング上に引きずり上げて投げ倒し、娘の首を太い腕で手加減なく締め上げている。
娘もパイプを振りかざし急所を蹴り上げたりしてみるが、老人とは言え筋肉隆々の男を
組み伏せられる筈もなく、息を詰まらせぶちのめされて、あえなくマットに沈む。
夫(父親)と愛人は、勝ち誇りながらのびた母子を見下ろしてネットリ接吻を交わしていた。
クラブDJ風の日本人が「これ本当の家族なんですよ」とVTRを解説。

リングを取り巻く観衆は熱狂している。これは一体…。一応ヤラセなんだろうか?
シビアな客が、八百長を承知でここまで沸くというのも考えにくいが。
女同士の闘いなら面白いだろうが、屈強な男が女を滅茶苦茶にいたぶる見世物とは
いかがなものだろう。まして相手は“妻と実の娘”という設定。
娯楽ショーだからと割り切って観戦するには、あまりにきつ過ぎるブラックジョークである。

見ていて胸が悪くなったので、テレビを消した。

アタシの祖母は、普段は優しい人なのにプロレスが大好きで、生前は子守の傍ら
よくTV中継で興奮していたものである。幼いアタシもそばで一緒に見ていたが
ある時、額に噛みつかれて血を流す男が、自分の父親に見えて仕方がなくて
『あれはお父さんじゃないのよ』といくら言われても、聞かずにおいおい泣いていた。
そこへ当の父がひょっこり帰ってきて
『ワシがあんなのに出る訳ないだろう』と、その時は大笑いされたが。

件の家族バトルは好評で、相当な興行収入(?)をあげているらしいのだけれど
外国人の発想って、時々理解を超えていると感じることがある。
身内に手をかけるような悪趣味なショーが、間違っても我が国で流行ったりしませんように。


 < 過去  INDEX  未来 >


[“Transient Portrait” HOME]

↑みちる草紙に1票
My追加