空模様は若干怪しかったが、散歩を兼ねて買い物に出かけた。 秋になってから紋次郎の食欲が凄まじく、買い置きのペレットや干草が底をつきそうに なったので、某ドラッグストアで買い溜めする必要があった。これがまた重たいの何の。 今回は何とか降られずに済んだ。寄り道しながらの往復で、3キロは歩いただろうか。 日頃の運動不足がたたり、腕は痺れ、足は棒。セルライトに充ちた身体が重い…。 へとへとに疲れて自宅に帰り着いたのが、確か午後6時頃。
買い物袋を解き、こたつに足を入れるか入れないかの時、突然、部屋全体が揺れた。 「んっ!揺れてる?」 もんを見ると、何かを注視するように上方を見据え、かしこまっている。 アタシも身動きを止めて息を詰めた。 カタカタカタカタ… 目玉だけ動かし部屋の中を見渡すと、パソコン机、本棚、食器棚が、ヤバいくらい ゆさゆさと揺す振られている。揺れは、これまで経験がないほど、実に長いこと続いた。 このまま揺れ方がひどくなり、この家具類が倒れてきたら、アタシに支えられるだろうか。 いや無理だ。こんな非力で、ましてこの足じゃ。 建物がいよいよミシミシ崩れ出したら、紋次郎の他に何を持って逃げようか。 恐ろしさに身体が強張り、固唾をのんで、揺れがおさまるのをじっと待った。
グラスに注がれたお茶が小刻みに震えなくなった頃、NHKを点ける。 その時はサッカー中継を放映していたが、すぐに画面がニューススタジオに切り替わった。 震源は新潟。そしてそれはなんと、マグニチュード6強の大規模地震であった。 それ以降、24時間以上にわたって地震の報道が続き、アタシも入浴時の中座のみで 深夜までニュースを見続けた。新潟では余震が相次ぎ、大変な混乱状態であるらしい。 何と気の毒な。洪水の被害甚大な新潟の夏が、まだ記憶に新しいというのに。
これでもかと、次から次にやってきた尋常でない数の台風で、今年は多くの人が死んだ。 そして、あと3ヶ月で、未曾有の被害を出した阪神淡路大震災から10年が経つ。 日本は今一度、あの試練を味あわなければならないのだろうか。
|